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さぁて!準備といこうか!
雨の中、ある決意をして部屋へ戻った私は、変なハイになっていた。
らしくもない…軽く自己嫌悪だ。
そして、そのある決意とは、
『仕事を辞めよう。』
仕事を辞めよう、なんて即決することではないなんてわかっている。
でも、時には勢いも大事だよな。うん。
自分で自分を洗脳しながら、荷造りをする。
部屋に旅一式が都合良く揃っているなんていうとんでもない幸運を引き当てた私は、とりあえず大事な物と、町で買い込んだ雑多物を鞄に詰め込む。
そうだ、辞表を書かなければ。辞める理由なんていくらでもある。すぐに書けるだろう。
案の定素早く書き終え、
……封を閉じる前に、ちょっとふざけてやろう。
なぜかいつもならしないようなことがしたくなった。文末に、鬱憤をひたすらに書き綴ってやる。よし。これで気が済んだ。
今度こそ封を閉じ、小さな机の上へと置く。団長の許可は取ってないが、まぁいいか。
さて、これで良いだろう。
黒いローブを羽織り、夜の闇でも快晴でも目立つ色の濃い金髪をフードで隠し、クイールの特徴である赤い目を伏せて、愛剣を腰に差して、夕闇の道へ踏み出す。
毒々しい赤色の夕日が沈みかけ、冷たい銀色の月が昇ってくる。
そんな奇妙な空のもと、私は生まれ育ち、自分で自分を殺していた故郷を離れた。
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作者名:真 @アドミーク | 作成日時:2022年8月26日 17時