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ra「3人とも、大丈夫?」
ラダオくんはさっきと180°くらい違う、いつもの優しい声で俺たちに声をかける。まだ怒りは鎮まっていないはずなのに、笑顔で言う。
(…それが俺とレウさんには一番の恐怖だって本人は知らないんだろうな)
kyo「お前なぁ…こちとら預かってんやぞ…」
ra「そうだねぇ。ありがとキョーさん」
言い返そうとするキョーさんに対して、ラダオくんはくるりと闇属性の魔法をかけた。ふわりと飛んでくる魔素だけでも頭が回らなくなって、脳が溶けるような感覚になってくる。
もしかしたら俺たちにも魔法を微弱ではあるけどかけているのだと思う。口の中が砂糖みたいに甘い味に変わってきたから。
(…いけない。それよりも)
とりあえず魔法でAさんを預かって抱え込む。少しずつ毒されているからか、彼をギュッとするとさっきまでの恐怖が消えて無くなるような感覚がした。
(この人が起きた時、あの生徒たちがどうなったかも、俺たちが何を見たのかも知らないんだよね。…いや眠らされた事も忘れてるんだっけ)
甘えたら嫌がられるかな。なんて考えられるくらいにはまだ俺の心は大丈夫になってきたらしい。
ra「…ﾌｩ。よし仕事戻るよ〜」
kyo「は、ちょお前……」
教師モードに戻ったのか、それとも怒りがまだ止まらないのか、お得意の転移魔法でキョーさんを連れて消えた。
md「えっ?」
服の端を引っ張られてAさんを見る。少し驚いたけど目覚めてはなかった。
普段から着てる服にここまで感謝するのは始めてかもしれない。
md(…移動しよう)
この彼岸花畑にずっといるわけにもいかない。ここでAさんが目覚めることも後で色々言われかねないし。
re「…」
レウさんもこのままだとコンちゃんの格好の餌食になる。それに雪崩みたいにくることが予想されるこのあとの書類作業時に、一番適任の人が使い物にならないのも困る。
md「レウさん、一緒に移動しよ」
re「え、あぁ……うん…」
md(コンちゃんが言ってた通り壊れかけてる…)
瞳の奥に、闇属性の魔力の淀みが見えた。
俺たち運営の壊れはラダオくんしか治せない…というか、他の人が治すところなんて見た事ないからわからない。
md「立てる?」
re「…だい、じょぶ」
なんとか立ち上がるとこを確認して、俺もラダオくんと同じように魔法で移動した。
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作者名：あんべべ | 作成日時：2021年10月9日 16時
