恋愛ゲームの悪役に転生。だが男だ Ⅲ【男主】 (ページ13)

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流れる水が排水溝へと流れていく。

「…やっぱ思い出せない」

シャワー室の鏡と向き合うゼペルの眉間には曲線が刻まれている。指で直そうと広げるが治らない。これはしばらく治りそうにないだろう。

(景品をもらってからなにがあった…？)

あのあと気が付いた時には時間が経過しており、目が覚めたところを確認して担任とミドリが独房を出た。

「っ、たくよぉ…」

コンロみたいに舌を鳴らしながら服を着る。目を覚ましてから少し話すならまだしもすぐ退室するなんて、あたかも何かカルト集団がらみのことをあなたに試行しましたと伝えているようなものだろう。

魔法が使える場に戻れたら速攻で自分の体や魔力に異変がないか確認しておこう。

「…なんだこれ？」

部屋に戻ると、全然使ってない机の上にメモ切れとファイルが置いてあった。青いファイルは筆跡から察するに担任のもの。少しふりゃりとした隣のメモはミドリの字だと推測。
何が書いてあるのか。ペラりとメモをめくる。

『3〜4,10〜11』

…これは時間か？だとしたら何の?
とりあえず書き殴ったというような羅列に首を傾げる。さっさと数字の意味を聞きたいがまだ側にラッダァがいるかもしれないし…。

次来たときにミドリに聞いてみよう。なんなら今度は担任の動きを阻止してくれるくらいにはしっかりお話をしなければ。

「…ぶあつ」

まるで鈍器になってくれそうなファイル。中を開けば、情報がずらりと載せられていた。
現場の記録、被害者の発言、死亡した30人の身柄、教師たちの考え、生徒たちの証言(真偽判定済み)。

今回の一件がそれはもうしっかりと、まるで海外ドラマに出てくる捜査官のようにまとめられていた。

(教職ってブラックとか聞くけど…いつこんなに調べてたんだ？)

カルト集団で信仰対象として置いている俺だからというのもあるだろうが、ここまで調べ上げてくれる先生なんて俺がいた前世の日本じゃ絶滅危惧種だっただろう。というか都市伝説並みにいなかった。

まあ記憶がない間にしたのであろう"何か"をするような危険キャラには変わりないけど。

「これに関しては感謝しないとな」

俺はファイルを読み直した。