恋愛ゲームの悪役に転生。だが男だⅡ【男主】 (ページ47)

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ひらり、ふわり、ふぁさぁ〜
花びらが舞い踊り、観客たちに暖かさを運ぶ。

フラワーフェスという言葉に相応しいパフォーマンスは無事に成功。老若男女、誰もが楽しめるように考えた内容で正解だった。

それっぽいお辞儀をして、アリーナの地面に落ちた花びらをキラキラのエフェクトを乗せて消していく。
流れで退場口まで移動をしてから振り返れば、すぐ次の生徒オスマンのパフォーマンスが始まった。

「見て、オスマン様がいらしたわ！」
「なんてお美しい…！」

俺がファンシー、ポップだとしたらあちらはパッションと言ったところか。彼が手を動かせば青空へと薔薇の花びらが踊りだす。高貴さのある身のこなしに、普段とは違う薔薇の紋様を織り込んだ魔法陣。

一挙一動全てが美しく、この場にいるすべての人間を魅了する。

もともとオスマンは植物魔法を最も得意とする珍しい魔導士のため、扱い方も魔法の種類も参加した生徒の中では群を抜いていた。

そのため見たことない魔法陣、俺では考え付かなかった扱い方や動き方は次元の違いを認めざる得ない。
芸術作品のような彼のパフォーマンス。1位以外で座るに相応しい席はないだろう。

そして彼は自身を中心に大輪のバラを咲かし、パフォーマンスの幕は閉じた。
オスマンが美しいお辞儀をすれば、俺の出番より数倍大きい歓声が闘技場を埋め尽くす。

もう少しこの場の空気を味わっていたかったが、接触するリスク回避のためにささっと闘技場から出ていった。

ーーー

図書館へ戻る途中、とぼとぼと歩く生徒を発見した。
姿を直してから生徒の元へ降りる。

生徒「！」
「こんにちは。イベント、誰かと回らないんですか?」
生徒「ぼ、僕…その……」

クリーム色の肩まである髪にクリッとした目。赤いリボンにレースをあしらったスカート。
でも、多分…前世の俺と似ている子。

「1人なら図書館、来ます？」

近い存在だからか、つい提案してしまった。