恋愛ゲームの悪役に転生。だが男だⅡ【男主】 (ページ28)

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さて、次にヘアアレンジを施していく。

「まずはとかしますねー」

一言入れてブラシで丁寧に髪をとかす。絡まることがなくサラサラと下へ落ちるブラシ。攻略対象は髪も上質らしい。

zm「お前、髪いじりもできるん?」
「こっちはある程度、ですね。使用人に頭貸してもらって特訓してました」
zm「頭の貸し借り…?」

ヘアアレンジを練習するのに付き合ってもらう時にそう言うんだと説明すると、別の意味と勘違いしていたのか謎に納得された。

…過ごした環境の違いが出ている気がする。

「…はい、鏡待っといてください」
zm「別にひとつにまとめるくらいやろ」
「それはレパートリー不足の人がやること」

あまり匂いのしないムースを使って左側の前髪を後ろへ持ってくる。編み込みも入れて残ってる前髪もいい感じにかたちをつくり…

zm「別人みたいになった気分」
「いいじゃないですか、ゾム様だとは気づかれにくいわけで。人がすぐ集まってくることはないと思いますよ」
zm「それは、まぁ…助かるけど…」

こっちを見る目はまだ怪しいと言っている。
改めて説明が必要らしい。

「俺は最初っから貴方の魅了体質に一度も影響受けてませんよ。魅力みたいなものがあると察知はしましたが……
さっきも別にただ寝顔綺麗だなーって思ってただけです」

ゾムはしばらくの沈黙の後、盛大にため息をついた。

zm「俺の勘違いか」
「じゃなきゃ面と向かってクソダサいとか言わないでしょう」
zm「ふっ…確かにな」

すまんかった、とゾムが謝罪。
ショッピもだったが、こういう時素直に謝罪する辺り攻略対象たち(特に生徒に限って)は根が優しさでできているのだろう。

これには悪役ポジの俺もニッコリだ。

「俺の方こそ、勘違いさせてしまうような言い方をしてしまいすみませんでした」

もちろん俺も謝罪する。
…俺の言い方に問題があったわけだし。

(あ、鐘鳴った)

昼休憩の終わりを知らせる鐘が遠くから聞こえてきた。そろそろ人もみんな闘技場やホールへと移動しているだろう。

zm「ありがとな。…人前に出るの少し恥ずかしいけど、結構気に入ったわ」
「それは何より。今日と明日残りの業務も頑張ってください。もしまた疲れたら…」

ここはずっと静かですので。よければ休みに来てください。