恋愛ゲームの悪役に転生。だが男だⅡ【男主】 (ページ26)

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・　　〜make up〜ページ26

ひたすらダンダカ走ってゾムを追いかける。
相手は疲れがまだ抜けきれてないのだしすぐ捕まえられるだろう。

…なんて思ってたのだが、やはり軍で鍛えられているだけある。意外としぶとくて10分も追いかけっこをしてしまった。

zm「おま、ほんと……なんなんや」

息絶え絶えのゾムが睨んでくる。
魔法を使わずに逃げてたってことは、まだ回復もできてないのだろう。

「自分ですか?ゼペル・Aです」
zm「んなことわかっとるわ!追いかけてきた理由を聞いてるんやこっちは」

知っているかもしれませんがと名乗ってみたがそっちではなかったらしい。

「理由ですか。…いやぁ今のゾム様、"クソダサい"ので身だしなみを整えようと思いまして」

これが俺の勘違いを解消する策。
魅了にかかってるやつはこんな言葉言わないだろうというワードをのせてみた。

zm「ださ…⁉︎」
「ええ。ダサいです。髪やら顔やら綺麗にしましょう」

なぜか石のように固まっているゾムを魔法で運びつつ図書館に戻った。

彼の意識はずっとダサいというワードに囚われているようで逃げることもしない。普段フードで隠してるくせにらこう言うド直球ワードには弱いようだ。ふむ、学んでおこう。

「そこ座っててくださいね」
zm「あ、あー。うん」

椅子に座らせて俺はメイクポーチをガサガサ漁り始める。ガチャカチャと道具を取り出しテーブルに並べていった。彼は意識が戻ったのかずらりと並んだメイク道具を眺めていた。

zm「お前って化粧するんか」
「まぁ一応。それっぽくできます」
zm「なんか「はい前髪あげますよー」…わかった」

とんでもなく怖いオーラを発されてはいるが、気にせず汗でぐちゃぐちゃになった化粧を落とす。思った以上にガッツリ塗られていたんだな…と思うほどにコットンがすぐ汚れていった。

「…肌綺麗ですね」

この年の子供といえばニキビや肌荒れに悩むはずなのだが、ゾムの肌は恐ろしいほどに白く綺麗だった。

思えば、この世界に転生してから肌トラブルなんて悩みを聞くことが減った気がする。もしやこの世界は肌トラブルなんて概念がない？

「これくらい綺麗ならナチュラルメイクでいきましょうか」
zm「ナチュラル?」
「ええ。まぁ楽しみにしててください」

そう言ってメイクタイムを開始した。