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準決勝の前にはお昼休憩が挟まれる。
他参加者よりも長い時間休める俺はさっきみたく誰かが来ては大変なので、昼飯を用意したのち速攻で図書館の裏まで戻った。
変装魔法を解いて、髪と瞳をゼペルの姿へと直す。
(まだいるのかな)
ドアを開いて中を確認するとゾムがまだ寝ていた。
…よほど疲れたのだろう。アタックが強い人はとことん話しかけに行くし。
(顔を良い人って大変そう)
他人事だが流石に同情。モテたことのない自分にはほんと知らぬところの話だが。
(…にしても)
透き通るような肌、長いまつ毛、サラサラの髪……見れば見るほど何が惹かれるものを感じる。
ちょっと違和感を感じるくらいに。
(…違和感?もしかして______)
zm「おい」
「あ、おはようございます」
キッ、と鋭い眼光が開かれた。
さすが特殊な訓練を受けてるだけあってすぐに視線を気づけるらしい。
「体調はいかがですか?」
zm「さっきよりマシ。…やけど」
戻るのだるい、とソファにだらしなく寝転がりながら言う。そりゃそうだ、挨拶の場に戻ったらスメハラと猛烈アピール騒音が待ってるわけだし。
想像するだけでキツそうだ。
「でしたら、もう少しこちらにいらっしゃいますか?個人競技が再開すればホールに人が集まるでしょうし」
zm「ええの?」
「自分は特に問題ないので」
そう言うとゾムはありがたく〜と言って猫みたいな伸びを一つ。誰かが丁寧にまとめてくれていたのだろうに…寝転がったせいで髪が乱れている。
そこは魔法でなんとかするのだろうか、それよりも聞きたい事があるのだった。
「ゾム様、ひとつ質問が」
zm「なんや」
「貴方の惹きつける力って」
突如視界を占領する彼の顔。
俺としてはふつーに聞いただけなのだが、どうやらこれは地雷だったらしい。首元にナイフが当たっていた。
(…速い)
ここには魔力遮断の結界が張ってあり能力関係なしに全ての魔法が使用できない。にも関わらず、捉えられない速さで俺に近づいていた彼。
(コイツ、やはり俺にとっては難易度masterで間違いなさそう)
zm「…お前も大丈夫だと思った俺がバカやったわ」
ゾムの細く険しい瞳が俺を見る。
その反応は聞きたかった答えを表していた。
(なるほど、『体質』かぁ)
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作者名：あんべべ | 作成日時：2021年9月26日 19時
