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「え…」
次から次に出来事が起こる。これが季節イベントかと言うほどに。
当の本人、ニーアは俺の驚いた顔にきょとんとしており今回の不思議現象にも自覚がないようだった。
(もうこの人、ただのNPCじゃないだろ)
どの手紙にもニーアの存在は記載されていなかったが明らかに特殊すぎる。服飾魔法を専門とする生徒が持っている能力ではない、俺の頭はそう結論を出していた。
An「ご主人サマ!お時間近づいテマスのでシャキッとしてくださいマシ!」
「ごめん。ニーアさんもありがとうございます」
Ri「わ、私は何も…。でも何かお役立ちできたのならよかったです!」
お辞儀をすればニーアはあわあわと手を振る。無自覚に色々と力を発揮するからより今の動きもどこか…
(主人公キャラ…みたい…?)
かつてからそんなふうに思うことはあったが、やはりどこか恋愛ゲームの主人公みたいな要素を多く持っている気がする。いや、かなり持ちすぎている。
(…ダメだ。ちゃんとした答えが出てこない)
An「…!ご主人サマ、いらっしゃいました」
先ほどまでの雰囲気とは一変。アンはしゅるりと真面目モードに切り替え、散らばっていた物を魔法で片付けた。
「来たか…」
客人の来訪。
俺自身もニーアへの疑問を胸にしまい、テントの入口を見据え姿勢を正した。
gr「失礼する。生徒会の見回りで訪れた」
このゲーム「Wizard's Harts」内において最高難易度を誇るキャラクター、その名も生徒会長グルッペン・フューラー。
ルナの企みなのか、元から決まっていたのか。どうやら彼は出店している店をこの休憩時間に自ら見回っているらしい。
os「こんにちは。あくまで事前書類で申請した内容を展開しているかの確認ですので、あまり固くならないでくださいね」
オスマンと共に。
ニーアは普段から親しい人の姿が見えるとホッと息を吐いて、アンと共に2人に商品を見せにまわった。
(ふむ…)
無闇に話すことができない俺はティーカップを傾けつつ、会長の状態を注視する。
あんなにも甘党の彼がスイーツを見て何も反応せず淡々と職務をこなしている…以前の帰り道での彼の姿を見た此方としては大きな違和感がある。
gr「…して、どうしてここにゼペル氏が?」
書類から目を外さずに会長は尋ねる。このまま俺に触れてこないかと思っていたが、やはり《ゼペル》という存在にはキャラクターとしての軌道力が働いたのかもしれない。
そんな彼の頭に見えた好感度は95を迎えていた。
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作者名:あんべべ | 作成日時:2022年12月1日 19時