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「これは…」
あまりの違いに言葉が出ない。
色は濁りハートとは全く異なる不揃いな形。
掘り起こされた原石とも違う、明らかに素人が手を加えてしまったような石たちを前に、とうとうルナが床に座り込んでしまった。
こんな歪な石が発生するなら、質をメインにされて当然である。これが魔法で無理やり作り出した一方的な感情の結果なのか。
tm「…こんなこと、今までの生徒たちでは起こらなかった問題だ。話はいろいろ聞かせてもらうからね」
君は、勝負以前に失格対象だ。
元の髪色に戻っていく学院長はひどく冷たい…しかし荒立つことのない静かな声色でルナに告げた。
もしかしたらゲームではゼペルが言われていたであろう展開。自分があの言葉を受けていたと思うと背筋が凍った。
tm「さて、不戦勝とはいえ素晴らしい成績を収めたゼペルさん」
「は、はい」
tm「君は審査点も含め、非常に優秀な成績を残した。今まで現れたことのなかった虹色の心ジュエルや、最高品質の夢ジュエルの獲得はこの行事に伝説を残したとも言える。よって」
_________君を、来年度の特待生にする。
「…え」
思ってもいなかった言葉に、言葉が出てこない。
まさか自分がルナと同じ特待生になれるなんて。
tm「とはいえキミはまだ未熟だ。学ぶべきことがたくさんある。しかし今回の成績と来年の6月に行われる予定の姉妹校戦に向けて、出場生徒を選ばなければならないという点で、大いに見込みがあると確信した」
「姉妹校戦に…自分が?」
前世と同じように、魔法を学ぶ学校の中には姉妹校や兄弟校と呼ばれる関係性がある場所も少なくない。
魔法学院も例外でなく、隣の北の国にある『魔法学園』と姉妹校という提携を組んでいた。
実際ゲームでは、2年生の初夏に姉妹校との特別試合と称した、ラストスパートに向けてのレベル上げイベントが用意されている。
その頃、ゼペルは全く表に出てこない期間であるはずなのだが…。
tm「うん。キミは切り札になると思っている。だからこそ期待と応援も含め、キミを我が校の代表、そして特待生としたい。どうかな?」
答えは一つしかない。
「喜んで」
tm「うん、そう言ってくれると思ってたよ。正式な書類は後日改めて送らせてもらう。それと夢ジュエルはキミの部屋に転送しておいたよ。戻ったら確認してね」
「はい。ありがとうございます」
では解散!そう言って学院長は俺を校舎の入り口に転送した。
おそらくルナは…聴取が始まっていることだろう。
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作者名:あんべべ | 作成日時:2022年12月1日 19時