恋愛ゲームの悪役に転生。だが男だ Ⅺ【男主】 (ページ37)

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shp「…ぷは」

必死の嚥下の後、涙の浮かぶ藤色からはシュウゥと淀みが消え去り、元の綺麗な瞳に戻っていった。
そしてアメトリンのような色合いを見せる瞳は俺の姿を捉えた途端、勢いよく肩を掴んできた。

shp「なんでそんな強引に食わすんや!走馬灯見えかけたやろ!」

まあ、あんな大きなガトーショコラ一切れを口に押し込められたら誰だってこうなるだろう。口もパサパサになるし、同じ味を咀嚼し続けるわけだし。

「やっぱ途中で隙間からクリームを入れるべきだったか」
shp「余計に苦しくなるやろ…ていうか大先生はまだ終わってへんのか。俺より甘いの食える人なのに」
「つまりもう少し押し込めと」
ut「ん"！？」

ガトーショコラを押し込まずとも凄まじいスピードで口の中に入っていく。どうやら本気で食べ始めたようだ。
心ジュエルの確認もすれば、2人とも煤が洗い流され元の綺麗なハートへと戻っていた。

(…2人もピンク色か…)

片手は依然としてガトーショコラなのだが、思わず力加減をミスって押し込んでしまった。

os「ショッピくん、頭の中がスッキリしたとか何か変化ってある?」
shp「そうですね…さっきより体調が良くなってます。頭の中も今までみたいな違和感がない…です」
gr「となればこの2人も復活だな」
ut「も"、も"う"無理…」

全て食べきったウツは顔面蒼白で、ヒトランが用意してくれていた水をガバガバと飲み始めた。

「2人とも戻ったようで何よりです」
ut「Aちゃんやること鬼すぎない?」
「時には強引さも必要と知ったので」
shp「それでこま…いや待ってくださいグルッペンさん。なんで貴方が慌てているんですか」

この行動方針の元凶が焦りの色を見せる。

gr「いやそんなことないぞ。なぁオスマン」
os「ん?俺も被害者だし庇わんよ」

見事に会長は事の顛末を白状させられる事となり、しばらく追いかけっこが開始。
とはいえ会長、ウツ、ショッピにかけられていた魔法も解くことができ1日目は終了した。

２日目も無事に事なきを得るのだが、他の生徒会メンバーにチョコを食べさせることはできず、消えたトントンの行方もわからないまま。

そしてイベント最終日。
もっともチョコを生徒に食べさせ戻すことができるショコラカップが始まるのだった。