〜chocolat cake〜 ページ31
地下牢での出会いを経て地上に上がると、空は既に黄昏に変わり、ウィンターカーニバル1日目が終了した。
これから師匠となる4人と地下牢の入口で別れ、俺は未だ魔力不足で気配消しを使えないまま校舎をコソコソと歩いていた。
(せめて杖はしまっておけばよかった。こういう部分もクロノアさんに指摘される…杖呼び出しくらいには魔法を使わずにできるか模索しておこう)
「…!誰かいる」
階段をよっこらと登り家庭科室へ向かおうとすれば扉の前に伸びる人影があった。
入室制限の魔法をオスマンから習い、ウィンターカーニバル期間は常時あの扉へ発動しているため、"入らない"ということは陣営や今日助けたキャラクター以外ということ。
ルナの差金だろうか。しかし彼方はハート集めの本当の勝利方法を知らないはず。
(つまり器具破壊といった妨害行為、もしくはこの人伝いで保管してる板チョコへ魔法をかけようとしているかの2択)
4人から指導を受けるようになる身、今からこういった場での動きも鍛えねば。
やる気を奮い立たせ、威嚇用の魔法弾を用意した上で階段の最後を踏みしめた。
「そこまでだ。……ってショッピ?」
廊下に飛び出し照準を合わせると影の主はショッピだった。夕日に照らされる彼はどこか疲れているように見える。
shp「Aちょっと待ってや!何か誤解しとる!」
「じゃ、どうして仁王立ちしてたの?」
shp「生徒会が見回りでここに来るから伝えとこうと思って」
えっ、とショッピの回答に驚いて声を出した直後。後ろから複数の足音が聞こえた。
振り返って一歩家庭科室に近付く。ついでに魔法弾も消して。
ci「あれ、Aや」
ut「ショッピくんもそこおったんか。やっほ〜Aちゃん」
(…うげぇ)
階段を登ってこちらに来たのは生徒会一年生キャラクターたち全員。漏れ無くルナを中心にして。
俺の前で見せるような非道の顔ではなく、聖女様と謳われている顔をしたルナはこちらを見て微笑んだ。
lu「こんばんはゼペルさん。今日もこちらで御夕飯ですか?」
(誰だ教えたやつ…)
「ええ。行事期間でも夕食時のみは使用許可をいただいていますから」
いつもお一人で大変ですね、と皮肉を聖女様顔で言われる。しかし此方も負けじと「いえいえ。でしたら今度お食べになりますか?」なんて返した。
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作者名:あんべべ | 作成日時:2022年12月1日 19時