〜rivals〜 ページ4
この学院で行われるウィンターカーニバルは国内外関係なく人気を博しており、このイベントに参加する来場者も出店する店もこっそり訪れる著名人も、他の行事の数倍の数はあるらしい。
そんなこともあって。
(う、売れる速さが人気スイーツ店並みだ…!)
アンの子どもたちでウワサを広めないと客が来ないと予想し動いて貰ったはずなのが、完全に杞憂だったらしい。
物販開始時間の前から列がずらりと発生し、時間になると大量に作ったはずのお菓子やニーア手作りのアクセサリーが棚から消えていった。
An『ご主人サマ!AパックとCパック追加ですワ!』
『はいよー』
俺はアンからの指示で客に見えない位置で空いたカゴと新しいカゴを入れ替える。
既にこの動きを10回はしているというのだから、人気スイーツ店はこんなにも大変なのかと店員さんの心情を察した。
An『子どもタチも手伝っテくれてイルとはいえ…客足、止まる気配見当たらズ……ですワね』
『…天使は1人手が離せないし』
カウンターに立つアンと共に視線を動かす。
その先では世界的有名ファッションモデルとデザイナーと話すニーアの姿があった。
An『3月にある世界的ファッションショーに招待されてマスね』
『…すっげぇ』
ついに世界からも注目される時が訪れたらしいニーア。その表情は今までに見たことがないくらい嬉しそうだった。そんなニーアに恋心を寄せるアンも、大切な相手にだからこそ見せる微笑みを浮かべていた。
『幸せそう』
An『ふふ、とはいえコレカラが始まりデス!』
(すごいな、2人ともまるで物語の主人公みたい)
このゲームの世界で極悪な主人公を見てきたせいか、ついそんな気持ちになってしまった。
ありえないというのにそう思わせる2人は、やはり圧倒的にキャラクターとしての光属性を持っているのだろう。
some「お疲れ様でーす」
関係者入口からひょいと顔を覗かせたのはンソメだった。
An「おや、シュタイゲン様!」
some「Aさん、チョコって用意できてる?」
「…!はい、いつでも」
ンソメの言葉で裏で保管していたバスケットを手に持ち、気配消しを最大限に発動する。
「行ってきます」
An「ファイト!デスわ!」
アンの応援を背に、俺はテントを出た。
ta「こんにちは〜」
ya「お久しぶりです」
「2人とも、お久しぶりです」
ンソメに連れてこられた場所には、彼も属する街の問題を解決する『何でも屋』のメンバーが集まっていた。
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作者名:あんべべ | 作成日時:2022年12月1日 19時