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gr「というわけだ」
なるほど、そんなことが。俺は知らなかった情報を得てうんうんと納得する。その隣に座るオスマンは未だに顔に影が差しているままだが…。
会長から聞いた話はこう。
終業式前日の夜。ウィンターカーニバルに向けて書類作業をしていた際に、グルッペンは突如オスマンから「今の現状からして似た魔法で対策されるのではないか」と話を受けたらしい。
おそらく自分は一度魔法をかけられるから、ゼペルを不利にできるタイミングで加勢するから元に戻してほしいと頼まれたと言う。
結果、グルッペンは魔法が解けていたことも分かっており、かつ元に戻せるよう手筈も整えていた…と。
(…あれ、なんか違和感がある)
オスマンの話には妙な点がある気がした。そもそも、彼らは魔法で心に煤をかけられていることを知らないはず。ではどうして『似た魔法で対策される』と発言ができているのか。
ーーー
「大枠のみですが…事情は察しました」
「察してると思うけど、あっちはともかく俺は平気」
「パーティーの次の日に交代制限が取れたんやけど、手帳や生徒会面々の様子も可笑しくなってて」
ーーー
ああそうか。俺は妙な違和感と、この一連の流れの真相を見つけることができた。
「"今この瞬間"までがシナリオなんだ」
zm「グルッペンがチョコを食べるまでが?」
re「魔法にかかってた時の味方を、不利にさせようとしてたって事になるよね?」
gr「…そうか、あの時話したのは_______」
全員の視線が彼に集まる。
目を閉じ顔を下げていた彼。
全員が見ている中、「ふふ」という微笑みと共に瞳が開かれた。
mn「どうやグルッペン。狐に化かされた気分は」
gr「最高に気分が悪い。しばらく尻尾を見せないと思っとったら…ずいぶん手の込んだことをしたなぁ?」
mn「あは。そりゃ悟らせるわけにいかんやろ?特にAさんには可愛いキャラで通してたかったし〜」
gr「可愛いキャラ?聞き間違いか?お前は可愛いの皮を被ってるだけだろう」
mn「なんや悪口言って。もしかして心理戦負けて悔しいめう?」
これが本来、ヒトランのルートで見かけるはずだったライバル枠の姿か。甘党の2人の間で激辛な戦いが始まり、周りは驚きで固まっていた。
(設定にも言葉巧みとは書いてあったが…これは敵に回さなくてよかった)
あんなスパイスは受け止めきれない。今までとは180°違う姿に、俺もただ眺めているしかなかった。
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作者名:あんべべ | 作成日時:2022年12月1日 19時