恋愛ゲームの悪役に転生。だが男だ Ⅵ【男主】 (ページ32)

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俺の反応が気に入らないのか、ヨーグは一言だけ発したかと思えばさらに腕の傷へ負荷をかけてきた。

「イ"………ぐっ…⁉︎」

ガリ、と抉られて俺は痛みのあまり叫ぼうとすれば左手で口を押さえつけられる。
んだこれ、ただの拷. 問でしかないが？？

Yo「クラシア嬢が言っていたぞ。どうやら他の事件も関わっていたそうじゃないか。
一言で全て?笑わせる。しばらく苦しむがいい」

なんでもうアイツと交流したんだこのジジイは…！
あの表彰絡みな気がしてならない。実は夏の間に国王あたりとも会っていそうだぞこの流れ。

ああ痛い、元より身体中が悲鳴をあげているのになぜここまで受けねばならない。ゲーム通りの流れならばゼペルちゃそもう闇落ち3段回目くらいいってるだろこんなん……

ーーー

苦しめると言いだしてからどれくらい経ったか?
痛みが若干麻痺してきたあたりで爪地獄から解放された。俺はろくに取れてなかった酸素を肺に入れる。

手の大きさを自覚してくれ、鼻まで塞がれている様なものだった。

Yo「で、いい加減話す気になったか?」
zm「…おそらくそんな事では真相さえも言わなくなると思いますが?」

ピシャリ、とヨーグの行動を否定する発言が放たれる。
聞き覚えのある声に扉の方へ目をやればそこにはゾムがいた。

普段のパーカーはどこへやら。きっちりと制服を身に纏う彼はいかにも貴族らしい。
歩き方も佇まいも、本当はそこまで身につけていたのかと流石に驚いてしまった。

Yo「大佐の倅か。なぜここに来た?」
zm「その大佐からの命です。王宮へ戻る様にと、お妃様からの言伝を預かっております」
Yo「ふむ。そうか…大佐には礼を伝えておく」

してゼペルよ、とこちらをまたひっどい目で見てくる。俺はさっきのがまだ痛いのだがという意味で睨み返した。

Yo「早めに白状した方が身のためだぞ?そこにいる大佐の倅は私以上に手慣れているからなぁ?」

嫌な笑み。不快感しかないその表情を残してヨーグは独房から去った。
足音も聞こえなくなりこの独房の階にはすなわち、ゾムと2人になったわけである。

とりあえず盛大なため息だけ吐いといた。
すると柔らかい衝撃がくる。

ゾムに抱きしめられたのだ。
まるで脆い小さな子どもを抱きしめるかの様に、それはそれは優しく。
でも、なぜか彼は震えていた。

「ゾム様…?」