義兄は私を嫌っている。Part2

〜貴方side。〜 ページ10

どうしよう…

今日も図書委員の仕事があるのに。

田ノ浦くんに会うと思うと家にいる方がマシだと思うくらい憂鬱だ。

昨日の夜もせっかく来てくれたのに無視しちゃったし。

田ノ浦くん…絶対に怒ってるよね？

でも、私の秘密を話して彼を失うくらいなら暫く距離を置いて避け続ける方がずっとマシだ。

9時前くらいに行けば間に合うよね？

田ノ浦くんも練習でもういないだろうし。






ざわざわ…

よかった、もうサッカー部の人たち集まってる。

校門をくぐりそれを確認すると、私は顔を隠しながら早足で図書室に向かった。

「…ふぅ」

なんとか切り抜けた。

昨日、散々田ノ浦くんを傷つけちゃったし彼に見せる顔なんかないよ。




「何ため息ついてんだよ、バカ」

それは一瞬の出来事だった。

急に背後から声が聞こえたと思ったら、空き教室であるはずの所から手が出てきてそのまま連れ込まれて…

これ説明でわかる通り、私は今…訳がわからなすぎて凄く混乱している。

「捕獲成功。」

後ろから抱きしめられている状態で顔は見えないけど、

この声…

「田ノ浦くん！？」

「俺を無視して避け続けた罪により、君には今から抱きしめ殺しの刑を受けてもらいます。」

「え、え？？ぎゃっ！！…っ」

予想以上に苦しい。

「田ノ浦くん…っやめて…！」

「だーめ、俺もこんくらい苦しかったの」

「…え？」

「君に無視されて、もっと、この倍は苦しかったんだよ。」

田ノ浦くんはそう言うと抱きしめる力を少し強めた。

「ごめんなさい…っ！」

田ノ浦くん…

私、自分のことばっかり考えて…

「なーんてな」

「へ？」

「泣き虫のくせに一丁前に俺のこと無視しやがって」

「きゃっ」

田ノ浦くんは私の体をグルンと半回転させ優しくキスを落とした。

「この落とし前は君からのキス、100回分で許す」

「ええ〜！！？」

「って言おうと思ったけど、俺もごめんな。君のことを勝手に疑って、押し倒して」

「ううん」

悪いのは隠し事をしている私。

田ノ浦くんは何も悪くない。

「じゃあこれで喧嘩終わりな？」

「うん」

「よしっ」

田ノ浦くんはそう言うと私の頭をポンポンと撫でた。

「でも、また急に押し倒すかもしんねぇけどその時はごめんな」

「…？」

「まぁそれはベッドの上に、だけどな」

「〜〜っ！！」

「ははっ！ゆでダコみてーだぞ」

「もう、意地悪！！」




生まれて初めての喧嘩。

そして仲直り。

なんか変だけど私…今、凄く凄く嬉しいんだ。

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