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第4話。 ページ27

「おはよ」

田ノ浦くんと図書室で当たり前のように会うようになってもう一ヶ月が経った。

お兄ちゃん達からどんなに酷い仕打ちを受けても次の日の朝には田ノ浦くんがリセットしてくれる。

別に付き合っているわけでもないけど、人が来るまで抱きしめてもらって、一緒に子供が見るような絵本を読んで笑って。

田ノ浦くんが遊びでもいい。

影で私のことを笑っていてもいい。

他に彼女がいたって全然平気。

それでも…

今の私には彼が必要だった。

「なぁ、今度の日曜ひま?」

彼は絵本のページをめくりながら私にそう問いかける。

「どうして?」

「一応、デートのお誘いなんだけど」

デート…

「俺とじゃいや?」

わかってるくせに。

「嫌じゃないよ」

断れるわけないじゃん。




この服装、変じゃないかな?

やっぱりスカートって張り切りすぎ?

私はなんども立ち鏡を往復しながら田ノ浦くんのことを思い浮かべる。

「どっか行くの?」

その声に私の顔は一気に青ざめた。

私は恐る恐る声の主の方を見る。

シンお兄ちゃんだ。

なんで?

昨日は帰ってきてなかったのに。

「俺、質問してんだけど」

「あ…あの…」

言葉がつっかえて出ない。

なにか、なにか言い訳を…。

「なに?お前、男できたの?」

「ちがう!!」

お兄ちゃんのその言葉に私はついつい大声を出してしまった。

「なにムキになってんの?」

「ご、ごめんなさい…」

「よけい怪しいんだけど。」

「本当に違うの…友達と…」

「へぇ…友達と遊びに行くために鏡を何往復もしてるわけだ」

バレてる…。

でも、ダメなの。

今日だけは…

今日の約束だけは。

「私、もう行くね」

バンッ

そういう音とともに一度開けたドアはお兄ちゃんの右手によって阻止される。

バンッ

「誰が許可した?」

今度は左手まで追加されて私は行き場を完全に無くした。

「お兄ちゃんの…許可がいるの?」

「あ?今、なんて言った?」

やばい…

口が滑ったとはこの事だ。

完全に失敗した。

「お前、マジふざけんなよ」

「やめてっ!いたいっ」

ドサッ

そんな必死の抵抗も虚しく、私はベットに押し倒された。

「お兄ちゃん…っ本当に時間がな…っ」

「いい加減、黙れよ」



最悪。

お兄ちゃんに見つかるなんてあり得ないミス。



田ノ浦くんに連絡しなきゃ…。

でも連絡先…知らない。


田ノ浦くん…

少しだけまってて。

すぐに終わるから。

すぐに逢いにいくから。

だから…帰らずにまってて。

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まなか(プロフ) - はじめまして。すごくおもしろいです、全て読ませていただきましたが話がとても深く、とても感情移入してしまいました。更新等頑張ってください。楽しみにしてます (2021年1月12日 22時) (レス) id: 55942c365e (このIDを非表示/違反報告)
彩波 - 面白いです!!!! もう感動して泣きましたよー!! part 2も頑張ってください! (2019年2月16日 6時) (レス) id: 6f464ca19c (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - 魅月さん» ありがとうございます!!そのコメントに元気をもらいました!! Part2の方もどうぞよろしくお願いします! (2018年8月18日 0時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - 匿名でいたいさん» うずうずさせてしまってすみません!笑笑 Part2できました^_^ Part2の方でもうずうずさせない程度に頑張りますのでよろしくお願いします! (2018年8月18日 0時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - ゆうあさん» コメントありがとうございます!夢主が幸せになれるよう最後まで見守ってください^_^これからもコメントお待ちしております! (2018年8月18日 0時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まりあ | 作成日時:2018年4月20日 4時

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