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第2話。 ページ3

13歳(秋)

この時、私はもうすでに母に兄達のことを相談するという事は頭から消えていた。

そんな矢先、母が他界した。

不運な事故だった。

母は私の話なんか何も聞いてくれず、仲のいい兄妹だと思ったまま死んでいった。

母が死んだのは、本当に悲しかった。

でも心なしか、安心している自分もいた。

これで私と血の繋がりがある者がいなくなった。

やっと兄達から解放される…と。

最低だとわかっている。

わかっているけれど、今の現状は私には辛すぎて我慢の限界はもうとっくに過ぎていた。




「連れ子はどうするの?」

「知り合いの施設に引き取ってもらうか?」

そんな親戚の声に義父は戸惑っていた。

施設…

まだ、そっちの方がマシか…

お父さん…

1つ心残りがあるとすれば血の繋がりがないのに本当の親子以上に可愛がってくれたお父さんと離れることくらいかな。

母は兄達に気を使うばっかりで私の事はまるで見えてないだったけど、お父さんは休みのたびに遊んでくれた。

2人で水族館に行ったり、動物園に行ったり、最近は仕事も増えて休みがどんどんと減ってそういうこともなくなったけど…

でも、いつも気にかけてくれた事はちゃんと知っている。

お兄ちゃん達の事はさすがに言えなかったけど…。




「ねぇ、父さん、Aを施設に送ったりなんかしないよな?」

私はその言葉にギョッとして顔を上げた。

上の兄だ。

「もう、俺ら家族じゃねぇの?」

ねぇ、どの口がいってるの?

やめてよ…お願い…

「ミユキ……シン、お前も同意見か?」

上の兄の意見を聞いて、下の兄も首を縦に振った。

何を考えてるの?

「あの、私は…っ」

「本当にいい子たちね」

「育て方がいいのよ、きっと」

私の声はそんな声に打ち消された。

とても言える雰囲気ではなくなった。


もしここで、ちゃんと勇気をもって言えていたら…

少しは何か、違ったのかも知れない。




あの時、兄達は父の後ろで顔を隠して笑いを堪えていた。

ただ、悔しくて、悲しくて。


私は下に落ち続ける涙の跡をただただ、じっと見つめていた。

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まなか(プロフ) - はじめまして。すごくおもしろいです、全て読ませていただきましたが話がとても深く、とても感情移入してしまいました。更新等頑張ってください。楽しみにしてます (2021年1月12日 22時) (レス) id: 55942c365e (このIDを非表示/違反報告)
彩波 - 面白いです!!!! もう感動して泣きましたよー!! part 2も頑張ってください! (2019年2月16日 6時) (レス) id: 6f464ca19c (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - 魅月さん» ありがとうございます!!そのコメントに元気をもらいました!! Part2の方もどうぞよろしくお願いします! (2018年8月18日 0時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - 匿名でいたいさん» うずうずさせてしまってすみません!笑笑 Part2できました^_^ Part2の方でもうずうずさせない程度に頑張りますのでよろしくお願いします! (2018年8月18日 0時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - ゆうあさん» コメントありがとうございます!夢主が幸せになれるよう最後まで見守ってください^_^これからもコメントお待ちしております! (2018年8月18日 0時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まりあ | 作成日時:2018年4月20日 4時

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