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「気持ち悪く、ないのか...？」
「なんで？」
「っ...だって...羽根...こんなの...。」
彼は涙を流しながら忌むように自分の羽根を見つめた。
そんな事ないって、分かってくれないの？
「天使の羽根でしょ？綺麗じゃん。僕は、そんなんで君を嫌ったりしないよ。」
「...本当に？」
「うん。」
僕の即答に、彼は酷く安心したようだった。
彼の涙が止まるのを待って、彼の隣に腰をかけた。
「天使病って、言うらしい。」
彼は、ぽつりと、そう零した。
天使病か...漫画の中だけかと思っていた。
確か、激痛が体に訪れるんだっけ。
...だから、泣いていたのか。
「＿っ、ゔぁ...あ’’ぁ’’っ...！」
「！？スマイル！？」
スマイルが、突然苦しみ出した。
辛そうな声を出して、目からまた涙を流した。
痛いんだ。
...でも、僕にはどうする事も出来なくて。
背中を摩って上げたいけれど、そうしたらもっと痛くなるんじゃないかって思って。
彼の手を取って、必死に声をかけることしか出来なかった。
...情けないなぁ、僕。
君を、救って上げたいのに。
「あり、がと、broooock。」
「...どういたしまして。」
漸く痛みが収まったらしいスマイルは、途切れ途切れにそう言った。
...僕は、何も出来ていないのに。
彼に羽根が生えた事は、嬉しかったけれど。
彼が苦しむ事は望んでいない。
昔、何かの漫画で読んだ、天使病の治療法。
...もし、それが合っているのなら。
「...スマイル、結婚しよ。」
あまりに唐突で、なんの脈絡もないその言葉。
最高の幸せを知れば、治ると聞いたから。
僕が君に贈る事ができる、最高の幸せを。
彼にとって、これが最高の幸せかどうかは分からないけれど。
それでも、僕にとっては最高の幸せだから。
.........だからもう、泣かないでよ。
「...っ...するっ！ありがとう、broooock。
＿＿俺今、本当に幸せだ。」
涙を流しながら笑った彼の背中には、もう羽根は生えていなかった。
「愛してるよ、スマイル。」
「ありがとう...俺も、愛してる。」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
天使病
発症条件:不明
症状:ある日突然背中に天使の羽根が生える
羽根が生えると背中に激痛がはしる
羽根が生えたまま、長い間時間が過ぎると、異形となって死に至る
治療法:最高の幸せを知る事
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作者名：ローゼ | 作成日時：2019年6月22日 7時
