【刀剣乱舞】旅立つ前に

サクラスタンプ（一期一振） ページ24

『いちにぃ…ってよんでいい？』

同情だと嗤われるだろうか

こんな手のひら返しをするなんて、と叱咤されても可笑しくない


「だ、め…？」


水面に映した月のように揺らぐ大きな瞳を離す事ができなかった

あの環境にいて殺気が分からない事はないと私は思うのです

我々がそうであった様に


「…私は貴女に酷いことを言いました」


人が向ける殺気、嫌悪、怨恨は恐ろしい執着をみせる

その結果が祟りとなるです


「なのに私を、そう、呼んでくれるのですか？」


「？」


彼女の境遇に胸を痛めていのか、となればこれは同情なのでしょうね


「一期。それじゃ、分からんぞ？もっと言葉を砕かねば」

「じぃ？」


我々は人とあるべき付喪神

情が人と近しい神の末席


「A殿」


「ぅん？」


この縁は善くも悪くも強固な糸で紡がれている


「私は一期一振。藤四郎は皆、弟になります」


人と刀

我々も忘れてはいけなかった


「まだまだ未熟な兄ですが、私を貴女の兄にしてくださいますか？」


「ひひっ！！いちにぃ！わーい」


「良かったなぁ。A」


「ん！！」


人の世

間違っても憎むなんて甚だしい


「え？一兄、仲直りしたの？」


「Aはぼくたちの妹になるんですか？」


「じゃ、俺達もお兄ちゃんだな！！」


一方的な愛情は崩れて行くもの


「あちゅはあちゅだよ？」

「なんでだよ！！」


「僕は僕は！？」


「えっとみだりぇ…ねぇちゃ！！」


「おい。A、こいつはおと……」

「厚、うるさい。だまって」


「ぐぇ」


「???」


愛されるだけではなく愛さねば


「いちにぃ」


「はい」


「いちにぃしゃま！」


もう我々は物言わぬ刀ではないのだから


「いっしょ、いく！！」


愛でる側になるのも悪くはない


(あ"ぁ"ぁぁあっ！！)


「おはなひらひらーきれー」


「よかったな。A」


「うん！！」

.

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