〈13〉 ページ13
side PINK
《北斗、ホントはさ。》
そこまで書いて、ベッドで眠るその顔を眺めては、それを消して。
苦しそうな表情に変わる度、もう一度書き直す。
｢…大我…くん？｣
｢っ、こ、こんばんはっ！｣
そんなことを繰り返していると、病室のドアが開き、俺はバッと立ち上がる。
声の主は、北斗のお母さんだった。
｢北斗っ、どうしてっ｣
俺が避けると、北斗のお母さんは北斗の手を握った。
その後ろから、お父さんがお母さんの肩に手を回した。
｢…あ、えと、今は眠ってるだけです。
熱が高いので…安静が1番だって、先生が｣
｢ありがとう。
タッキーから、母に直接電話があったんだ。
何事かと思ったら、無茶しやがって｣
後ろに立っていたお兄さんに軽く会釈して話すと、そう返ってきた。
｢明日はドラマの撮影だったみたいですが、滝沢くんが気を回してくださって、オフになったそうです。
経過次第だと思いますが、今日は入院して、明後日には仕事になると思います。
…ただ…今日の夜公演なんか、幕が降りる度に過呼吸起こしちゃってたので、お医者さんはあまりいい顔してませんでした…｣
｢過呼吸？？…北斗、どこか悪いの？
アレルギーでも起こした？｣
｢っ、｣
お兄さんの問いに、俺は言葉が詰まった。
｢大丈夫だよ。…心配かけて悪かった。
明日の仕事もできるから｣
数年ぶりぐらいに聞いたような、そんな声。
北斗が目を覚ました。
｢北斗っ、良かったっ！
倒れたって聞いて、静岡からすっ飛んで来たのよ？
今何時だと思ってるの！
大我くんがずっと付き添ってくれてたのに。
お言葉に甘えなさい｣
お母さんの少しヒステリックな声がまるでほんとにドラマの世界のようで。
あまり現実だと思えなかった。
｢休むかどうかはお前の判断じゃない。
先生、呼んでくるからな｣
北斗のお父さんが病室を出ていく。
｢っ、悪かったって。
京本も、疲れてるのに、ごめん｣
お母さんに言われて気づいた。
もう深夜1時を回っていた。
メンバーには連絡するって約束したのに。
こんな時間まで居させてくれた病院の人たちにも驚く…
混乱してたけど、俺の後に来てくれたマネージャーさん、話をつけてくれてたのかも。
…これも、もしかしたら、滝沢くんの指示かもしれない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 964人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あーちゃん(プロフ) - あぴさん» ありがとうございます！大変嬉しいお言葉ですが、もう既に消してしまってまして...ごめんなさい！その代わりこちらの更新は頑張りますので、よろしくお願いします！ (2019年7月8日 23時) (
レス) id: fc9b1a9ec8 (このIDを非表示/違反報告)
あぴ(プロフ) - 更新、楽しみにしています！他アカウントで書かれている小説も気になるのですがどこから見れますでしょうか？ (2019年7月8日 19時) (レス) id: 26199fe34b (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - 紡ぎ糸さん» ありがとうございます。中々辛いシーンが続きますが、どうぞお付き合いよろしくお願いします！ (2019年7月2日 22時) (レス) id: fc9b1a9ec8 (このIDを非表示/違反報告)
紡ぎ糸 - 凄く、この続きが気になります！あーちゃんさんのペースでいいので、これからも、頑張ってください。応援してます！ (2019年7月2日 19時) (レス) id: f3cd696ec9 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - れく@ きょもほく同盟@まお大好き?さん» ありがとうございます(><)できる範囲でぼちぼちやって行きますのでどうぞお付き合いよろしくお願いします！ (2019年7月1日 13時) (レス) id: fc9b1a9ec8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あーちゃん
| 作成日時：2019年6月30日 21時
