32曲目 ページ43
左馬刻side
ドアの向こうから微かにシャワーの音が聞こえてきて、今Aが風呂に入っていると思うとこの空間が一気に生々しくなる。
銃兎「…で。左馬刻もAに惚れ込んだのか?」
「…冗談きついぞ銃兎」
銃兎「それなら良かった」
眼鏡を上げ直し買ってきた酒を飲む銃兎にそう答えると、意味ありげな笑みを浮かべてまたそれが気に食わねぇ。
『お風呂ありがとうございます』
「やっと出たか」
銃兎「服…デカイな」
『んー…下、ずり落ちてくるんですけど…』
そう言うAは銃兎の服を上だけ着ていて下は細い生足が曝け出されている。
「……」
『ちょっとなによ』
じっと見過ぎていたのか怪訝な顔をされる。
「あ?なんでもねぇよこっち見んな」
『はぁ?理不尽すぎでしょ…』
銃兎「StopStopStop、そこまでにしとけ。はぁ…俺も風呂入ってくる。
……手、出したら豚箱にぶち込むからな」
冷たい目をしてそう言う銃兎に適当に返事をすると舌打ちが聞こえてくる。
そしてAを見るとポタポタと水滴を垂らしながらソファーに座ろうとしている。
「髪くらい乾かせよ!」
『あ、いつも一郎達がしてくれるから忘れてた』
…つくづくこいつは面倒な女だな。
チッ、と舌打ちして違う椅子に座るよう催促すると大人しく座るAの髪を乾かしていく。
男と違ってサラサラと指の間から透き通る髪を触るとやっぱりこいつは女だと思い知る。
「ほらよ」
『ありがとー…普段から女の人にこうゆうことしてんの?』
「…妹によくやってたんだよ」
やーらしーとニヤニヤした顔で言ってくるAの頬を抓りながらそういうと涙目になりながら離してと必死に抵抗する。
『ま、なんでもいいけど…雨で酔いも覚めたし、飲み直そうかな』
プシュッ、っと缶を開けるいい音がして一気に飲み干す。
「お前イケる口なのか」
『んあ?碧棺も飲む?』
「左馬刻様だっつってんだろ」
『はいはい左馬刻さま〜』
手をひらひらと振り馬鹿にしたように言う目の前のこいつは女じゃなかったらとっくに海に沈めてる。
そもそも此奴は一郎の姉だし、顔はまぁいいにしろ減らず口で俺様のむかつく要素しかねぇ。
そんなことを思い、Aの横顔を見ながら酒を進める。
『……これ、帰れないかも…』
「あ?」
『見てみなよ外、今日台風だっけ…?』
そう言われふと窓に目をやると台風並の強風と大雨で窓がガタガタと揺れている。
『銃兎さんの家に泊まりかな…一郎に言っとこ…』
……これ俺も帰れねぇかもな。
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にゅーとん - 銃兎さん…鼻血) (2021年6月19日 0時) (レス) id: 7179999a63 (このIDを非表示/違反報告)
にゃっ太 - ルアさん» とルアさんこんにちは、作者様ではなく申し訳ございません。独歩の一人称ですが、関わる相手によって『私』、『僕』、『俺』に変わっていた気がします。コメント失礼しました。 (2019年2月19日 17時) (レス) id: c8a9b4a817 (このIDを非表示/違反報告)
ルア - ん…?独歩は一人称俺だったか気が… (2018年11月11日 23時) (レス) id: 1942f38c99 (このIDを非表示/違反報告)
たかはし(プロフ) - これめっちゃ面白いです!少し気になったのですが、4曲目の頭が上がらない、は使い方が違うと思います。意味は「何度お礼をしても足りないくらい感謝している、または常に迷惑をかけているなど申し訳ない気持ち」を表すと思います。違ったら本っ当にごめんなさい!! (2018年9月15日 20時) (レス) id: b1c8d6ac09 (このIDを非表示/違反報告)
飴うさぎ。(プロフ) - 「女性恐怖症は発症されていた」はおかしいかと。「は」だと、病気が複数あるように思えてしまいます。「最初は(名前)にも女性恐怖症が発症されていたが」など、少し文を変えてみてはいかがでしょう。 (2018年8月31日 7時) (レス) id: 719b9efe66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽちねこ | 作成日時:2018年5月18日 0時