24個目 sideなし ページ26
「13歳の髪結った少年?」
「何、美形?」
「これといって見かけた覚えのある者はいないそうだ。迷子か?」
「いやあ、ウチの一座の期待の若手なんだけど俺はいずれ騎士になる男だっつって飛び出しちゃってね」
ははははと明るく笑うオビに対して大変だな…と誰かが声をかけた。
「もし入隊したいだの城に仕えたいだの言ってくる子供が現れたらそれとなく引き留めといてくれますか?お願いします。近いうちにまた訪ねますから」
Aはそう声をかけ、3人は船の方面へと方向を変える。Aがより一層深くフードを被った。
「次だ。片っぱしから船を当たる」
「兵士相手なら王子の指示だって言った方が早いんじゃ?」
巳早がオビに声をかけた。周りはガヤガヤと賑わっていて3人の会話を聞いてる者は誰一人いなかった。
「俺はそういう手段は慣れないんでね」
「慣れない?…そちら昨日は白雪の付き人にも見えましたけど、ゼン王子の側近なんですよね?」
「さあ…どっちにしてもあんたがあの二人にちょっかい出したらその襟巻きしめあげて山に帰してやるよ」
「…」
オビのこの一声で二人の間の空気が一気に不穏なものになった。Aは1人、この空気に耐えられずふぅとため息を零し周りの様子を見る。
「あんたちゃんと周り見てろよ」
「…その口の悪さじゃ城の人間だって言っても信じちゃもらえないか」
巳早は嫌味ったらしくボソリと呟くもののオビは全く気にした様子はない。
「おまけに襟巻き山猿が一緒じゃね」
むしろ軽口を叩くほど余裕だ。
「自分ものクセに襟巻き襟巻きうるせえな!!大体そっちが着替えろっつったんだろ野良猫顔!!」
「まぁまぁ、2人とも落ち着いてください」
「うおーい船乗りサンちょっといいかい」
ヒートアップしてきた2人の言い合いに仲介で入るAだったが、オビは気にしていない様子で船の上にいる男に話を聞きに行った。
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作者名:あす | 作成日時:2018年12月1日 17時