18個目 sideなし ページ20
「おー…久しぶりだな、白雪。なんだ、髪伸ばしてねえんだ」
「おかげさまで…」
白雪が部屋に着いた途端、話しかける巳早。白雪は目を逸らしながらも巳早に挨拶をした。
「さ!これでいいだろ。話せ」
ゴトッと大きな音を立ててゼンは椅子を地面に置く。
早っ…巳早が呟くが気を取り直して話を続けた。
「いきなりだけど、白雪あんたさ、外見13、4歳の薄茶色の髪した美少年の知り合いいる?」
「え?…薄茶色の…髪の?」
「美少年だって。お嬢さん、美少年」
いきなり頓珍漢な事を聞かれ、悩む白雪。白雪が呟いた事に口を添えるオビだがその言葉もまた頓珍漢で白雪の助けにはあまりならなかった。
「シュカ君…?いや14歳に見えるかな…」
「あーあの砦の見習い君」
「あれ…心当たりあんの?そいつってあんたがここに居る事知らねえ?」
白雪は考えて1つの答えを出したが、またも巳早に質問をされる。
「知ってるけど」
「じゃあ違う。別の奴だよ」
「何の話がしたいんだ?お前」
中々本題を話したがらない巳早に痺れを切らしゼンが口を挟んだ。
「オレ、この間ようやく牢から出まして金が底ついたので稼ぎに出ようととりあえず船に乗っていたらなんの縁だか赤い髪の娘を捜してる小僧が居たんですよね」
いよいよ本題に入り始めたかと思うと巳早はそんな話をしてきた。
「私を?」
「ま、白雪の事だろうなと思いまして隣国タンバルンの有名馬鹿王子の愛妾騒ぎの話をしてやったんですが、それは知ってたようで」
子供に何を話して…とミツヒデは首を突っ込んだが、巳早はそれに構わず話を続ける。
「…あなたの事は話さなかったの?」
「オレ?話したよ。赤髪の子が山で迷子になってたから保護してやったらウィスタル城から迎えが来たーって」
その言葉を聞き驚きを隠せない白雪とゼン。そんな中でも巳早はとても落ち着いていた。
「小僧は城って聞いて顔色変えてたけど、あんたが実際城に居るなら仮にオレが話さなくてもそのうち辿られたって」
白雪にそう語りかけ、巳早は次にゼンに話し始めた。
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作者名:あす | 作成日時:2018年12月1日 17時