MISSING TWINs Ⅲ (ページ8)

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ⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅥ ページ8

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意識不明の重傷者。
６名の内４名は既に灯火を絶やしていた。
その内の２名、その中に私の名前は存在していた。

「どうして…来週には結婚式だって、あんなにはしゃいでいたのに…っ」

「まだ生きてるんだ。目覚める可能性もあると医者も言っていただろう」

私に泣き縋るお母さんの背中を撫でながら、目を潤ませたお父さんはそう言った。
その会話から、あまり可能性は無い事、もし目覚めても不自由な生活を送らざるをえない事を知って、どちらがいいのだろう…とぼんやり考える。
両親の向かい側で、大我くんはただただ無表情なまま私を見つめていた。

ーごめん、芹…ー

大我くんの隣に立つ小さなお兄ちゃんは、機械に繋がれた私を見下ろし、ぼろぼろと大粒の涙を落とし続けていた。

ー誰にも変えられない事なんだから…みんな、そんな顔しなくていいのに…ー

人形のようにピクリとも動かない私を眺めての独白は、誰の耳にも届かずに霧散した。
まだ死んでいないのに、お通夜みたいな空気。
その空気を切り裂くように重苦しいノックの音が室内に響く。
唯一、まだ平静を保てているお父さんの「どうぞ」の声に、躊躇いがちに扉は開かれた。

「あの…」

一歩踏み込んだ中年男性に見覚えはない。
この空気を変えてくれる人を期待したのに、その人も空気を重くしただけだった。

「なんの…御用でしょうか…」

「…大変申し訳ございませんでした！！」

床に額を擦り付けて体を折ったその人を見て、この人が事故を起こしたのかと合点がいった。
お父さんの冷たい視線もお母さんの憎しみを乗せた視線も、振り返りもせずに眉を吊り上げた大我くんの表情も、私は初めて目にした。
それらは全て、謝罪を繰り返す男性に向けられている。

「本当に、本当に申し訳ございませんでした…」

言い訳をする訳でもなくひたすらに謝罪を述べ続けるその姿を見下ろして、私はその謝罪を受け取っていた。
あーだこーだと言い訳を並べられたらきっと赦そうなどと思わない。
けれど、この人はそれをしない。
好ましいと思える人だった。
今、ここの私が目を覚ましてもきっと同じ気持ちを持つのだろう。
だから、

ー謝ってくれてるんだから、赦そう？ー

お兄ちゃんは信じられないと言わんばかりに目を見開き、両親と大我くんの表情は変わらない。
聞こえないのだから、仕方ない。