MISSING TWINs Ⅲ (ページ6)

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ⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅣ ページ6

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ーもう来週には結婚式だねーー

ー…ね。芹…なに…せ……のう…ー

『そうだね。芹があんなに幸せそうにしてるの嬉しい』
靄の中で少しだけ窪んだ口の部分を必死で読み取りながら、ちょっとずつお兄ちゃんとコミュニケーションが取れるようになってきていた。
独白ではない会話は、私の落ち込んでいた心に上を向かせてくれた。
眼下の私は有給を使い、直しの済んだドレスを取りに向かった帰りの道中、大我くんの勤め先を通る事にしたようだ。
ここの大我くんはアイドルではなく普通の会社員をしていて、その勤め先は人の行き交う街中にあった。

今日は６月１３日。

幸せな花嫁にすると大我くんが選んだ式の日取りは、ジューンブライド。
花が綻ぶように笑った私を、もう妬むような事をするのは止めた。
どの世界の大我くんも素敵だけれど、私にとっての“京本大我”は本来の世界の大我くんなのだと、やっと腑に落ちたのだ。

ー雨降って来たね…ー

ーう…さも……し、…かな…いなー

『うん。傘持ってきてるし、風邪ひかないといいな』
お兄ちゃんの口がそう紡いで、通りの向こう側、降り始めの雨にうんざりしている大我くんの姿を見つけた。
その姿を私も見つけたらしく、雨に濡れぬようにとドレスの箱を抱き締めたまま傘を握り、信号のＧＯサインを待ち構えていた。

「大我ー！」

「芹？どうしたの？」

「例の物、取ってきたー！」

少しだけ張った声で会話しながら、やっと変わった信号を認めて足早に愛する人の元へと向かう。
幸せそうで良かったと、ずっと一緒であれるようにと、そう願って空を見上げた。
空は薄暗くなってきていて、信号待ちの車のヘッドライトが点々と点っていく。

ー……ー！！！ー

お兄ちゃんの音になりきらない声で、私は視界を元に戻した。