MISSING TWINs Ⅲ (ページ28)

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強い風に巻き込まれ、次に襲い来る痛みに覚悟を決めた。
結局、私は死ぬのか…。
一瞬がとても長く感じた。
走馬灯ってこう言うものなのかと実感した。
巡っていくのは私の記憶。

小さい頃からよく迷子になって、色んな人に助けられた。
１番怖かったのは駅のホームだったかな？

小学校ではおもしろい人だと皆に言われて、毎日楽しかった。
そして、大我くんを見つけた。

中学校に上がったら、私はおもしろい人から変り者に格下げされて、芸能人に恋するとかイタイんだって。
２年生の時に両親の都合で都会へ。
そこは学校に芸能人が普通に居て、私は変り者から新たな友達、響希達と出会った。
そこからは、また毎日が楽しくなった。

ありすの豪運で何度も大我くんに会いに行った。
優美の従姉の紫姫を含めての６人で、SixTONESの話で盛り上がるのは本当に幸せな時間だった。

高校生になれば許される範囲も広がって、コンサートに６人で行けるようになったなー。
ありす様様で良い席が確実に取れて、ファンサービスを貰えた時はドキドキが収まらなかった。
あの事故の日も、ファンサービスを貰えて私は浮き足立ってしまった。

そして、世界は物理的に一転した。

お兄ちゃんの体を乗っ取って、好き放題してしまったのは反省点。
勝手に芸能人になって、大我くんと仲良くなって、これはこれで毎日楽しくて。

私が目の前に現れてからは気持ちがずっとグルグル動いていた。
嫉妬とか、夢に見た大我くんの姿とか、色々な物が絡み合って、諦めて、また好きになって、最終的には諦めきれなくて。

吹っ切れたのは、始まりの悲しい世界でだった。
互いに依存して、雁字搦めで身動きが取れないくらいに想い合っている姿を見て、羨ましい気持ちとこうなりたくない気持ちが混ざり合って、落ち着いた先は私の世界の大我くんだった。
私が好きなのは私の大我くんだけ。
それが私の答え。

最期にもう１度だけ、私の大我くんに会いたい。

ー心残りが強いと…ー

ふと脳裏を過る声は、私に優しく接してくれたおじいちゃんの声。
そうだね。心残りなんて無い。
振り返ってみれば、私の濃厚過ぎる人生に心を残す必要なんてどこにも無かった。

お兄ちゃんに護られて、私の大我くんではないけれど、ここまで愛してもらえて、両親はどの世界でも全身全霊で愛情を注いでくれた。

ー私は、幸せでしたー