MISSING TWINs Ⅲ (ページ25)

今日:5 hit、昨日:5 hit、合計:15,150 hit

ⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅢ ページ25

ー糸…？ー

「おそらく、運命、寿命の糸」

ーじゃあ死ぬだけかもしれないじゃない！ー

「死んでも糸は残る。肉体を失ったように薄くなるだけで切れたりはしない。途切れているのは存在自体が消える時だけだ」

居るはずの人間が突然消える。
それはなんて恐ろしい事だろうと思った。

ーじゃあ、それを大我くんに説明して…ー

「んなことしてる時間ねーよ！」

私に向かいまっすぐ駆けていく大我くんを目指して、乳酸の溜まった重い足を持ち上げた。
気の急く中、お兄ちゃんの言葉を噛み砕いて理解した私は、自分を見捨てる事にした。
消えてしまう人間が事故に遭った所で、事故は無かった事になるだけ。
それに大我くんが巻き込まれてしまったら、事故は起こったままになる。
消えない人を巻き込んではいけない。
大我くんを止める事が、最善手だとやっと飲み込めた。

ー絶対止めて！ー

「その為にずっと走ってんだろ！！」

横断歩道に足を踏み出した私が、走ってくる大我くんを見つけて嬉しそうに手を振った。

「大我ー！」

それは、ついこの間見た光景と良く似ていた。
大切に抱えたコンサートのグッズを抱き締めて手を振る。
大我くんの足が、一瞬止まった。

横にある細い脇道に、車の影を見つけてしまった。

左折して上がるスピード。

何をそんなに急ぐ必要があるのか、一般道で出すべきではない速度。

「芹っ！！！」

それに気づいた大我くんの悲痛な声が聞こえた。