MISSING TWINs Ⅲ (ページ18)

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もう大我くんは動き出そうとしていた。
例え目の前で怪奇現象を起こしてでも、このナイフを窓から放り投げる。
そうすれば、事態に気づいているおじいちゃん達がそのナイフを処理してくれるだろう。

ーダメだよ芹。芹の幸せの邪魔をしちゃー

ー…お兄ちゃん、離して…ー

ー離さないー

ー私の幸せは大我くんが生きること！幸せに笑ってくれること！ー

私も芹なのだと主張するように、声を大にして訴えた。
けれど、小さなお兄ちゃんはその頭を左右に振った。

ー君は俺の芹じゃないー

その言葉は、お兄ちゃんに甘やかされ続けた私の動きを止めるに充分な働きをした。
小さなお兄ちゃんからの拒絶に、目の前が暗くなるような気分に突き落とされた。
その間も、時は無情にも過ぎていく。
隣を通り過ぎる大我くんを止めようと空いた手を伸ばす。が、その腕をするりと通り抜けただけだった。

「一緒に居るって…約束だからな…」

ーそんな約束いらない！！ー

倒れていく大我くんの姿。
叶えられなかった誓いの口づけと共に、シーツがじわじわと赤に染まっていく。
もう、こんな赤を見たくはなかったのに。

ー本当に…お兄ちゃんはこれで満足なの…？こんなの！ただ１人で死にたくなかったから引っ張っただけじゃない！！ー

何も口にしないお兄ちゃんの後ろで、私が大我くんが体から離れるのを心待ちにしている。
そんな私が許せなくて、お兄ちゃんの腕を振り解いてベッドへと急いだ。
今なら、まだ間に合うかもしれない。
間に合って欲しいと願いながら、ナースコールを押した。

ー余計なことしないでって言ったじゃない！ー

ー怪我人がいるなら医者を呼ぶのは普通のことですー！ー

ーっ、貴女…嫌い！ー

ー私も貴女…大嫌いー

様子を見に来た看護師さんが医師を伴って戻ってくる。
医師が見聞している間も私達は罵り合い、視界に大我くんを認めるとその口は止まった。
助けられなかったと項垂れる私と、歓喜しながら近づいていく私。

ー芹っ！！ー

ー大我！ー

その間を、大我くんは駆け抜けて行った。

ー…え？ー

重なった私のデュオも気にせず、大我くんは現れた光に飛び込んで行く。

ー大我！！私はここにいるよ！！ー

ー芹！ー

ーちょっ、待って！！ー

私とそれを追うお兄ちゃんに続いて光に飛び込もうとして、私は弾かれ気を失った。