MISSING TWINs Ⅲ (ページ17)

今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:15,145 hit

ⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅤ ページ17

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ー邪魔しないで！！ー

ナイフに触れた瞬間、バチンと大きな音を鳴らしながら壁際まで吹き飛ばされた。
大我くんの耳には入っていなかったのだろうその音をたてた主を、冷めた気持ちで睨みつけた。

ー邪魔って…なに…ー

ー大我の望むことを邪魔しないで！！ー

肩を怒らせて食って掛かる人物に、嫌な気配が絡みついていた。
そこに居たのは、紛れもなく私だった。

ー私と同じ顔して大我に引っついて…許さない。大我は私のモノなの！！ー

ー大我くんはモノじゃない！まだ正常に生きてる人間なの！貴女が一緒にいたくて唆したんでしょう！？ー

夢の中の私は、大我くんが心中を図ってくれた事を喜んでいた。
他の感情１つ無く、ただ心から喜んでいた。
そんな感情を持ってしまった私を、私は心から蔑んだ。

ーうるさい！大我は私がいなくちゃまた独りになるの！寂しい思いさせるくらいなら一緒に死んだ方が幸せに決まってる！！ー

ーふざけたこと言わないで！本気で愛してるなら…ちゃんと幸せを願ってよ！ー

遠くから見ているだけでも幸せだった。
ステージの上でキラキラしている大我くんが大好きで、掠れ気味の柔らかな話し声と、甘さの残る力強い歌声に幾度も胸を高鳴らせた。
人とはずれた感性を微笑ましく眺めて、友達とSixTONESの事を語り合う日々が幸せだった。

あの頃、確かに大我くんがいつまでも幸せであれるようにと心から願っていた。

だから、

ー貴女のそれはただのエゴじゃない！自分が大我くんがいなくちゃダメなだけなんでしょ！！ー

ーう、うるさい！ー

ーっ！ー

ー何も…大我の事何も知らないくせに知った口叩かないで！ー

ー貴女に…用はないのよ！！ー

私の上で項垂れて涙を流す大我くんが動き出す前に。
鞄を守るように立ちはだかる自分に幾度となく阻まれながら、諦める事だけは出来なかった。
私は大我くんを助けたい。
生きていて欲しい。
悲しみは薄れていく事が出来るものだと、ここで知り合った皆が教えてくれたから。
長い時間をかけてでも、生き続ければ癒される日が来るのだと知ったから。

ー貴女さえいなければ…大我くんは友達に囲まれていたの！ー

私の言葉に動きを止めた隙をついて鞄へと駆け寄った。
絶対に死なせない。
必ず、必ずどこかでSixTONESのメンバーと繋がる未来が在るはず。
その未来は、必ず大我くんを救ってくれる。