MISSING TWINs (ページ48)

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ⅩⅩⅩⅩⅦ ページ48

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いつもの部屋。
いつもの光景。
私の手を握る温もりも、その人が啜り泣く声もいつも通り。

ーまだ起きられないみたい…ごめんね…ー

「芹…」

ーうん。寂しい思いさせてごめんねー

毎日泣かせ続けるその人に、私は毎日謝っていた。
顔も知らない。
どんな人かもわからないのに、それでもこの人は優しい人だという事だけは信じられた。
パタパタと生暖かい滴が私の腕を濡らしている。

ーごめんねー

「守れなくてごめん…」

あなたは何も悪くないでしょう？
あなたを泣かせている私が悪いの。
だから、もう泣かないで。
どれだけそんな言葉を口にしても、それはあなたに届かない。
大我くんに気持ちを伝えられないのと同じくらい、苦しくて、悲しくて、辛い。

ーあなたは、誰ですか？ー

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「ふぁ…」

「武藤くん眠そうだねー」

「加藤さん、欠伸してるとことか見ないでください」

「いやいや、武藤くん。アイドルの生欠伸とか、見るでしょ」

「僕の事本当にアイドルだと思ってます？」

「クラスメイトだと思ってます」

「正解です。でも何か違う気が…」

確かにクラスメイトですが、加藤さんは私をアイドルだとは認識していない気がする。
いつも軽口を叩き、真っ直ぐに意見を告げ、私が間違っていると思えば糾弾する。
そして、良いように使ってくる。

「今日はどこですか？」

「さすが武藤くん！ここここ」

加藤さんの指差した箇所の確認をし、ノートに説明を書き出していく。
出来るだけ簡単に、相手が理解出来るように。
そして、それを使いながら本日の復習を済ませた。

「あ、あのね…武藤くん」

「どこか分からないところありました？」

「大丈夫！武藤くんの教え方、いつも上手だから」

それならぱ、一体なんだろうと続く言葉を待った。
普段のハキハキした彼女は隠れてしまい、言い辛そうに口を開いて閉じてを繰り返している。

「加藤さん？」

「あのね…武藤くん…私も…好き…です」

「え？」

「このページだけもらってもいいかな？」

示唆されたページの中を覗き込めば、

『加藤瑠璃が好きだ』

そう、私とは違う字体が飛び込んできた。