MISSING TWINs (ページ20)

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Ⅹix ページ20

『ありがとう！』

赤西くんの抜けた５人でのコンサート。
やっぱりどこか寂しそうなファンを前に、５人は何も気にすることは無いと底抜けの笑顔で歌っていた。
MCでは中丸くんが夕べ赤西くんに電話をしたら、ご飯を食べながらだったから赤西くんが何言ってるのか１つも分からなかったという笑い話を披露した。
絆は繋がったままだと、ファンの子達の数人があからさまに安堵の笑みを浮かべたのがとても嬉しかった。

私では赤西くんを残留させる事は出来なかったけれど、その中でもいい方向で終われた気がする。
大我くんを目的に行ったコンサートだったけど、あの時はこんなにキラキラした笑顔の５人は居なかったから。
少しでも私の羽ばたきが波紋を残せたのなら、僥倖だろう。

赤西くんに聖くんの事を頼まれたけれど、正直、今の５人なら何とか出来るのではないだろうか？とも思ってしまう。
報連相の中でも相談が１番大切。
１人で抱え込む事は美徳じゃない。
悩んだ時に思い浮かんだ人は、自分が１番頼れる人だから無理せずに相談したらいい。
言葉にするだけで軽くなる想いも在るのだと、今の私は理解しているから。

「芹、どうかした？」

「んー、赤西くんが抜けてどうなるかと思ってたけど…意外と１人居なくなったくらい、どうってことないのかな？ってさ…」

「俺は芹が居なくなったら泣くよ。絶対泣く」

「大我は誰が居なくなっても泣くだろ」

「そんな子供じゃない！」

「はいはい」

私より身長が高くなった大我くんがステージ上で飛びついてきて、その勢いに少しバランスを崩したが、大我くんが乱暴にだが支えてくれて落下は免れた。
目の前の女の子達が甲高い歓声を上げる。

「ぐるじ！くび！くび！！」

「え？俺子供だから言葉分かんないや」

「ごめんって！」

「よし！俺の勝ち！」

『さーわーげー！！』

「いてっ！」

「いだっ！」

私達の後ろを通りすぎる際に、聖くんが観客を湧かせながら私達の頭をゴンゴンと叩いていく。
立ち位置からあまり動けないだけに、じとりと目線だけ向けていれば、盛り上げろと言わんばかりのアクションが返ってくる。
弟もよく似たすっかりと眼がなくなる笑顔で、こちらにすっと人差し指を向けて。