MISSING TWINs (ページ11)

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「ソロ曲の作詞…ですか？」

ある日、僕の所に舞い込んできた社長からの少クラでのソロ曲の依頼。
曲は準備してくれると言われたが、作曲もしてみたいと進言すればすんなりと許可が降りた。
どんな曲にしようかと悩みながらレッスン室に戻れば、伊野尾くんが扉の脇で携帯を弄っていた。

「おかえりー」

「ただいま戻りました。レッスン今下の子達なんですね」

「んー…芹さぁ」

「はい」

「俺達には敬語やめないの？」

画面から視線を外さないまま、伊野尾くんは同じ言葉を繰り返した。

「京本とは普通に話すのに…俺らの方が先に仲良くなってると思うんだけど？」

「慧くんそんなこと思ってたんですか？」

「皆だよ。距離置かれてるみたいで寂しいねって言ってたけど、京本が入って仲良くなったら砕けたし、俺達はもっと長い時間一緒に居たのにって、普通妬くじゃん？」

「ふは、嫉妬乙」

くくと笑いながらそう返したら、怒るよりも満足気にこちらに笑いかけてきた。

「そうそう、それでいいの」

「OK。今後また戻ってたら言って。無意識だったからたぶんまた戻る」

「自分で気をつけろ」

「いけず」

「ふっる」

携帯を鞄に戻した伊野尾くんと２人で見つめた先には、フリの指導をするExpressのメンバーと、一生懸命ダンスに打ち込む下のJr.達。
真顔で踊る大我くんはコンサートのステージで踊っていた頃より、数倍もカッコ良くて、私はまた恋心に水を与えた。
もう育つ余裕も無いくらい胸いっぱいに育ってるのに、この心臓を破るくらいに育ちそうだ。

「そう言えば、社長の呼び出しなんだったの？」

「んー、少クラでソロ曲歌わないかって」

「え！？」

「作詞僕、作曲は他の人だったんだけど…」

「作詞！？」

「作曲もさせてもらえることになった」

「はぁっ！？」

盗み聞きしていた深澤くんや有岡くんがズルい！と騒ぎ出せば、自然こちらに寄ってくるメンバー達。

「何の騒ぎだよ」

「芹が作曲で作詞少クラだって！」

「有岡くん何言ってんの？」

「芹が少クラでソロ曲を作詞作曲するんだって」

「伊野尾くんありがとう…ズリー！！」

「んー、でも僕１人で踊りたくないから皆にお願いしていい？」

「……」

「やっぱ…いや？」

返答も無く、どうする？みたいに互いに見合う皆に、ついつい臆病になる。
ソロ曲とか、私でもズルいと思うだろうし。