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「お先頂きました。」
「早かったですよ。温まりました？」
「はい。すごく。ありがとうございます。」
「いいえ。じゃあ、僕入ってくるんで猫たちお願いしますね。そのダンボール箱の中にいるので。」
「はい。」
既に着替えていた後姿を見送ってリビングに目を向けると確かにダンボール箱がある。
けど。
「す、すごい。」
とても大きなダンボール箱の背丈が半分くらいで切られていて、覗くとその中はもう1枚潰れたダンボール箱が敷かれてその上にバスタオルとトイレシートが敷いてあった。
猫たちの毛も乾いていて。
すごい。賢くて器用で優しい人だ。
安心した顔の猫たちによかったねと小さく言ってみたり、もう心を許してくれたらしい親猫を撫でてみたり。実質何もしてない時間を過ごしてた。
しばらく経って後ろで物音がして振り向くとシャワーから上がったその人が頭を拭きながらこちらに向かって来た。
「これすごいですね。」
「ついさっき徒歩3分のコンビニで一番大きなダンボールくださいって言って貰って来たんですよ。なかなかいいですよね。」
シャワー中とはいえ初対面の人を家に一人で置いて外に？
「ふふ。猫に背広捧げる人は強盗しないでしょ。」
「え」
「あれ、違いました？無防備だなって顔してたんで。」
「いや、まあ。笑」
恥ずかし。
「色々買ってきてみましたよ。エサとかミルクとか。
あと大きいサイズの絆創膏とか。」
「ばん、そうこ？」
「あなた顔も手も傷だらけですよ。小さい擦り傷以外は塞いどこうかと。
はい。こっち向いてくださーい。」
少し顎を引っ張られたと思ったらいつの間に手に持っていたのか脱脂綿が近づいてきて。
ヒリ。
「っ、いたっ！！あ。」
「ふふ。我慢してください。」
ヒリヒリ、ぺたぺた、献身的にしてくれてる手前もう声は上げられなくて。
手には左手に一番大きな絆創膏一つと普通の絆創膏が指と手首も含め四つ。右は普通の絆創膏が三つ。
顔はわかんないけど一番大きな絆創膏を顔用に剥がしたのは見た。それが右頬で、あとはおでこと左目付近？
「顔も手も綺麗なのに絆創膏だらけでなんかすごい可笑しいです。笑」
そう言って俺を見て笑うのこの人に、俺は恋の始まりを明確に感じた。
−fin？
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作者名：すす | 作成日時：2020年11月15日 18時
