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次の日から華澄は本当に学校に来なくなった。ぽっかりと空いたその席にはもう、誰も座っていない。一人、もう私は一人なんだ。トイレの個室でため息をつき、教室に戻ろうかと思っていたとき頭上から「せぇーの」という女子の声が聞こえた。頭に、身体に冷たい感触。水だ。全身で水を被った。冷たい。

「ざまぁー!」
「瑠美ナイス〜ッ!!」

パタパタとトイレから出ていく音が消え、私はそっと個室から出た。髪の毛や制服のスカーフ、スカートからはポタポタと水が垂れる。惨めだ。自分が一番わかってる。わかっているけど反抗はできない。そんな自分にまた、惨めさを感じた。口角が少し上がった。

次の日は机の上に一輪の花があった。真っ白な花が花瓶にさされ私の机に置いてあった。こんなことをされているのになぜか花が綺麗だななんて少し思ってしまった。
次の日、また次の日と日を重ねるごとに嫌がらせ…いや瑠美たちにとっての遊びはだんだんと激しいものになっていった。ある日は体育着をトイレの水に浸けられ、シャープペンや鉛筆を折られ、そしてまた、水を被った。

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下校中、ふと自分の着ている制服やエナメルバッグのなかに入っている体育着が目にはいった。制服は所々色が落ちて綺麗な黒だったはずなのに今では灰色に染まりつつあった。体育着は白い布地に染みや汚れが目立ち、灰被りだったのシンデレラのようにみすぼらしくなっていた。

「だけど、灰被りのシンデレラのほうが今の私よりも全然綺麗だったんだろうな。
今の灰被りは私なんだ。華澄という名前の魔法がなければ輝くこともできない勇気のない、みすぼらしいシンデレラ……。
ってなに中二病みたいなこと言ってるんだろ。もう、高校二年生のくせしてさ……」
隣を元気一杯に小学生が駆けていった。

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家に帰り、靴を脱ごうと下を向くと黒いパンプスが見えた。お母さんのものだ。

(制服をこんなにしたこと怒られるかな、体育着をこんなにしたこと怒られるかな)

そんなに風に心配をして、でも少し嬉しい気もしてまたパンプスを見直すとそこにあったのは黒い綺麗なお母さんのパンプスではなく、汚れが酷くてもう履ける状態ではなくなっていた私の一足目のローファーだった。お母さんじゃない、そう思ったとき頬を生ぬるい水がつたい気がつくと玄関にしゃがみこんで声を押し殺してすすり泣いていた。

お母さんがいない。ずっと一緒にいた華澄もいないんだと。

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奇凜(プロフ) - シャル♪黒猫大好き人間さん» こちらこそコメントありがとうございます。それは、良かったです。書きたいものがありすぎて文字数が足りなくなってしまいおかしなところで切れている部分が多々あるのでそう言ってもらえて安心です。ありがとうございます。頑張ります。 (2020年3月6日 15時) (レス) id: 937d8618c2 (このIDを非表示/違反報告)
シャル♪黒猫大好き人間(プロフ) - イベント参加ありがとうございます!小説読ませていただきました。内容もしっかりしていてとても読みやすかったです♪主人公ちゃん、幸せになってほしいです……更新楽しみにしてます、頑張ってくださいo(`^´*) (2020年2月28日 16時) (レス) id: 6e2bf13c08 (このIDを非表示/違反報告)
師走ーシわスー@テスト期間(プロフ) - YUKARI♪さん» コメント、感想ありがとうございます!!そうですよね。いじめは怖くて、とても辛いものです。占ツク内には恐らくいじめっ子はいないと思いますが、少しでも小説でおきているようなことが減るといいですよね。 (2019年11月27日 17時) (レス) id: 937d8618c2 (このIDを非表示/違反報告)
YUKARI♪ - いじめって怖い…ひどいですね…こんなことが現実に起きているなんて考えられないです。主人公がこれからどんな行動を起こすのか気になりました! (2019年11月16日 11時) (レス) id: ac04f3e538 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:奇凛 | 作者ホームページ:なし。  
作成日時:2019年11月11日 14時

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