色戀、召しませ。 (ページ39)

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「本当に何するんですか？」

「あのねー、あっ、こっち」

隆二さんに促されるまま私は右へ左へ角を曲がる。

「もう始まっちゃってんだけど、みんなで集まって飯食ってて」

「また、一人にするんですか……」

歩みを止めた私を隆二さんが勢いよく振り向いた。

「え？」

しまったー………と思った。

私は前回、クラブから途中退場した理由を“有名人がいっぱい居たから”と言ったのに

“また”一人にするんですか、なんて言ってしまった……。

私は顔中で“しまった”を表していたに違いない。

「一人、嫌なの？」

それはまるで、子供を諭すような言い方と表情。

「あんま好きじゃない？人が集まってんの」

「好きじゃないって言うか…………」

「じゃあ帰りたくなったら言いなよ。俺も帰るから」

「え」

「あ、ほら。あそこ」

隆二さんはお店を指差してたけど、私は彼の顔をジーっと見てしまう。

俺も帰るから

そんなこと言われたら期待しちゃうんです、私。