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“分かったー。じゃあ頑張ってねー”
「はーい」
電話を切ってから私は後ろの車がいつまでも徐行していることを不審に思う。
…………なんだろ。
恐いなと感じて横目でちょっとだけ確認したら、バンタイプの車。
何か恐い…………。
少しだけ歩みを早める。
私の横にピッタリ車をつけられて、これは絶対チンピラだと恐る恐る顔を横に向けた。
「よーー」
全開の窓から片腕を出してマスクにフードを被った姿でこっちを見ていたのは、隆二さんだった。
唖然とする私。
車内に漂ってる“誰?”という空気。
って言うか実際「誰?」って言われてるし………。
恥ずかしい…………恥ずかしい………。
「何でケツのポケットにソーセージ入れてんの?」
「え!?」
バンっと自分のお尻を叩いたら、つなぎのポケットに確かにソーセージらしきものが入っていた。
いつ入れたんだよー………貰えないって言ったじゃん………。
「トイレ行くって居なくなったと思ったら居酒屋のトイレから出てきたんだよねー?」
臣くんが隆二さんの奥から顔を出した。
「なにそれ、ワープ?ワープ?」
「タイムワープ!」
仲、良いんだなぁ。
「じゃあね、バイバイ」
隆二さんはいつもの微笑みで手を振って、私も思わず振り返してしまった。
去っていく車を見ながら
「何だったんだろ………」
呟くのが精一杯。
「………あ、お茶買わなきゃ」
小銭を取り出そうとしたら携帯から通知音。
このとき、それが誰からなのか私は分かっていた気がする。
.
.
“夜、電話していい?”
そう、隆二さんからだと。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年1月4日 20時