3 ページ28
・
.
.
「そのストライプのつなぎ可愛いね」
トイレで着替えをしていた私に秀香が声をかけた。
「今日、家から直行じゃなかったんだ?」
「うん。一回事務所に顔出せって」
「主任でしょ?うっざー」
激しく頷いて、事務所を出て家の近くの現場に行ったら、昔気質の職人さんから図面を投げ付けられた。
「図面をインチで書く奴あるかバカヤロー!」
私のお腹にうまいこと巻き付いた設計図を広げてみたら、確かにインチで記載されていた。
「私が書いたんじゃないですよ!」
「読めねぇだろ!」
「…………分かりました。今からメートルに直します。それまで休憩してて下さい」
「…………怒ってんの?」
「怒ってませんよ。何が良いですか?お茶?コーヒー?買ってきます」
「怒ってるでしょ?ソーセージあげよっか?」
「怒ってないですって!そのソーセージは休憩の楽しみなんですよね?貰えません!」
「そう?じゃあね、お茶」
「はい」
くるっと背を向けて自販機まで歩きながら事務所に電話を掛けたら、秀香が出た。
「もしもし?ハゲ田ネチ男さんいらっしゃいます?」
“ハ…………あ、主任?ぷっ。お昼だよ”
「ねぇ、何でインチで図面書いたのあの人!かっこつけてんの!?」
“知らないよー!どした?文句言われた?”
「言われたよー」
喋ってる間に後ろから車が近付いてきて、私は道の端っこに寄る。
「うん。そう。今日のとこは良いから、明日からの分を書き直して下さいって伝えて欲しいんだよ」
ジリジリと徐行して私を追い抜かない車に、邪魔かな?とさらに端に寄る。
1867人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「芸能人」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年1月4日 20時