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まさかの充電切れ。
文明の力がなければ、一生此処をグルグルしてるんじゃないかと思ってしまう。
私はちゃんと、駅からここまでの道を覚えてたはず。
「あー………疲れちゃったなぁ」
さっき隆二さんと一緒に居た人は誰かなと考えてるうちに、迷った。
好きじゃなくなったのに…………。
もう、私は諦めた。
諦めることを諦めた。
“好きじゃなくなりました”と言ったとき、隆二さんは真っ直ぐ私を見てた。
ほっとしたのかな。
それとも“便利屋が居なくなったなぁ”って思ったのかな。
誰かが聞いたら“酷い人”って言うかもしれない。
どこが良いの?と聞かれるかも。
ならば、私は聞いてみたい
どこが悪いの?
その答えを聞いたら本当に───
遠くから走ってくる音が聞こえて、私は目を凝らしてそちらを見てみたけど、生憎何も見えなかった。
川沿いを誰かジョギングしてるんだろうな。
……………でも、ジョギングにしてはピッチが早い。
まさかなと思いながら、また音のする方をじーっと見つめて
ぼんやりとしたシルエットが私の目に鮮明に写った時には、彼はもうすぐそこにいた。
何故か逃げたくなって、駆け出そうとした私の腕を、彼はギュッと掴んだ。
「何で逃げようとしてんだよ」
「そっ、そっちこそ、何で追っ掛けて来たんですか」
「………逃したくないと、思って」
「便利屋さん………居なくなったら困りますもんね」
したい時に、したいこと出来る人が居なくなったら困りますよね。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2015年10月2日 19時