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「もっと、してほしいなぁ……みたいな」
「やばい!!何それ!A何でちょっと笑ってんの!」
「思い出しちゃって!」
私と真希はベッドの上で子供みたいに、はしゃいだ。
「やだー!」
「どうしよ!」
「岩田さんにそんなキスされたことない!」
「聞かれたらどうすんのー!」
.
.
「聞いてるけど」
「「うぁああぁぁ!!」」
岩田さんが小窓の向こうから、こちらを見ていた。
「だからカーテン付けろって言ったんじゃん!」
真希は私を小突いたけど、カーテン付けても声は丸聞こえだったと思う。
「いっ、岩田さん、どうしました?」
恐る恐る小窓に近づく私。
「岩田さん………?」
下を向いて黙ってる………怒ってるのかな。
もう一歩だけ近付いたその瞬間。
「お客様だよ〜」
急に鉄格子を掴んだ岩田さんが、そう叫んだ。
「おぉぅ!………何で今シャイニングの真似したんですか!!」
「いや、借りて観てたからさぁ。あ、真希の着替え」
どこかのショップの紙袋を小窓の高さまで掲げて見せた岩田さんに、真希が駆け寄った。
喧嘩してた訳じゃないみたいで良かったな。
古めかしい木製の玄関ドアを開けて、二人は何か話始めたから私は開いたままだった小窓を閉めてテーブルの前に座った。
チョコレートみたいな色したネイルが畳に1ヶ所だけ垂れている。
コットンにリムーバーをとって拭いてみたけど、畳の目に入り込むばかりで綺麗にはならなかった。
拭い去るつもりが入り込む………私の中の隆二さんみたい。
おやすみのキスから3日、焼けそうな唇だけを残して、彼は何を思ってるんだろう。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2015年10月2日 19時