イカロスの鍵。 (ページ22)

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「あーいう事は好きな人としかしちゃいけないと思います」

「だから、お前俺のこと好きなんでしょ？」

好きですよ。

「私は好きでも、隆二さんは私のこと好きじゃないから………嫌です」

「顔に似合わず堅いよね。あんな風に誘って、あんな風に必死で拒否されたの初めてだったわ」

「顔に似合わず！？って言うか……あんな風に誘ってるんですか？いっつも。そりゃみんな乗っかっちゃいますよね！」

「何怒ってんのー！？おもしろー」

からかわれてるのかな。

「私は全然面白くないです………デリバリーも数合わせも何度だってするけど、処理係は嫌です」

「処理係………凄いこと言うね」

「だってそうじゃないですか。昨日だって、すっきりしたかっただけですよね？」

知らない間に早歩きになるほど、私は一人でヒートアップしていた。

「私はそんなつもりで利用して下さいって言ったわけじゃないんです。困った時とか………悩んだときとか、そういうときに……」

利用じゃなくて、必要として欲しかった……？

「そういう時にちょっとでも隆二さんの役に立てればなって、そう思ったんです。好きな人の為に何かしたいって………傍に居たいって、それだけです」

前から酔っ払いの集団がやって来るのが見えて、私は一つ早く角を曲がった。

彼もどこへ向かうつもりなのか、私について来る。

「隆二さんは、私が………私が全然諦めないから………鬱陶しいんですよね。すみません、諦めが悪くて」

今日はどうしてこんなに夜風が冷たいんだろう。

こんなに早く歩いてるのに少しも体は暖まらない。

「分かってます」

永遠に続く片想いかもしれないって。

「でも好きなんです」

立ち止まって彼に背を向けたまま、私はポツリと呟いた。

「自分でも何で、こんなに意固地になってるか分かりません」

この恋が上手くいかないかもしれないと言って

この恋から隠れることは出来ない。