3 ページ15
・
向こうで盛り上がってる声が、こっちにまで聞こえてくる。
このまま彼女とあの人が意気投合して、二人で飲み直したりして“今度、遊びに行きませんか”とか言って………
そのまま付き合ったら良いな。
人の幸せを願ってるなんて言ったら偽善者みたいだけど
どうせ隣で見るなら幸せな姿のほうが良い。
のろけ話を聞いて私も隆二さんと、なんて想像したりして……やっぱ痛いかな。
一際大きな声が聞こえて、私は思わず下を向いた。
何か………一人以上に、一人ぼっちだ私。
.
.
その時、手の中で携帯が震えた。
画面には彼の名前、そして鍵のマーク。
私は立ち上がって店を出ようとして、慌ててみんなが居る席へ引き返した。
「仕事!呼び出し!」
唖然としてるA子に早口でそう伝えて、また出口へ走った。
どうしたんだろ。
また、何か半分ちょうだいって言うのかな。
私が今、半分あげられるとしたら寂しさくらい。
大通りまで出て、人の邪魔にならない場所で“どうしました?”と一言送って既読が付くのを待った。
既読がついてすぐ
“メシ”
と2文字。
「メシ……」
メシ…………作れ?作った?買ってこい?
“今どこ?店の住所送る”
メシ………一緒に食べるってこと?
私の寂しさを彼が半分貰ってくれた気がした。
1341人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「芸能人」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぽち。 | 作成日時:2015年10月2日 19時