今年も愛ある1年を… ページ7
愛車のキーを持つと、赤司はAに手を差し出した。
「それじゃ…行こうか。挨拶回りと初詣」
赤司の手を取りながら、Aは首を傾げた。
「征十郎、今年も初詣に行ったってお願いごとしないんでしょ」
毎年の事だったが、赤司は玄関に向かいながらきっぱり言った。
「ないね。願うなら自分で叶える」
「…行く意味がないと思うんだけど」
「Aが行きたいと思ってるから行く」
試しにおみくじを引いたって、赤司は必ず大吉で、すべていい事しか書かれていない。
運も神も仏も、赤司には勝てないという事か。
玄関で、赤司はくるりと振り返った。
「Aの晴れ姿、たくさんカメラに収めなければ」
いつの間に持っていたのか、赤司は一眼レフを手にしている。
それは先日、Aの父が赤司に伝授した物だった。
ついに赤司は一眼レフを覚えてしまったのだ。
余計な事を…とAは思ったが、仲間が増えて楽しそうな父を止める事は出来なかった。
「…実家でも父親がスタンバイしてると思うからやめて」
「お義父さんとタッグを組む。なんならAのご両親と初詣に行ってもいいかと思ってるし」
…父親と旦那様の激写攻撃から、今年も逃れられないのか。
Aは新年からくらりとした。
いやいや、と気を取り直して、赤司の腕に絡む。
もう、赤司とこうして正月を過ごせるだけでいい。
他に何があっても、愛する旦那様との時間が大事だ。
最初に赤司の父…あの大豪邸に行くのかと思えばやはり緊張するが、Aは征臣をそれほど怖い存在とは思わない。
確かに如何ともしがたいオーラがあるが、目つきはいつも何となく優しい。
「そういえば、今年は征十郎のお義父様、日本にいるんだね」
「…僕には新年早々Aに会うのを待っている気がしてならない…面倒だな」
それが真実かどうかAには分からないが、きちんと挨拶が出来るのはいい事だ。
自分の両親は…特に父親は赤司を可愛がっているから喜ぶに違いない。
Aを助手席に誘導した赤司は、運転席に座るとエンジンをつけた。
「それじゃ…行くか」
「うん」
アクセルを踏んだ車がマンションの駐車場から新しい年の空下へ出る。
陽射しまでもが新しい気がする。
そんな空気の中、車を快調に飛ばす赤司。
着物を着ているAは、今日1月1日をこうして愛する赤司と過ごせる事に、元日から幸せだった。
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←晴れ姿
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シャンプー - ラブラブで面白かったです♪他の作品も頑張ってください!(^^) (2018年3月7日 19時) (携帯から) (レス) id: 170aaa5bac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くろろん | 作成日時:2018年1月1日 2時