晴れ姿 ページ6
「さて、Aのご両親に新年のあいさつに行こうか」
赤司に頷いたAは、頬に手を添える。
「征十郎のお義父様へは…いつ?」
「…仕方ない、今年は日本にいるから…Aの実家に行く前にさっさと終わらせる」
新年の挨拶が仕方ないとは…
まぁ、行くだけマシかと、Aは着替える為にウォークインクローゼットへ向かった。
「着物は着ないのか?」
赤司が後ろから問うてくるが、Aはうーんと唸った。
「一応…準備はしておいたけど…ちょっと時間がかかるよ?」
「いい、僕はAの晴れ姿が見たい」
赤司は言い出したら聞かない。
それが分かっているので、Aは前日に着物や長襦袢を桐箪笥から出して干していた。
帯や小物も選んでいる。
もし時間がなかったら着物じゃなく服で…と思っていたが、赤司のご所望なら仕方ない。
赤司には、用意していた服を渡してソファーで待ってもらっていて、Aは全身鏡の前でしっかり着つけていった。
これも赤司家に嫁ぐなら、と教養の為に習得した物だ。
迷う事無く着付け、あとは髪をセットして、これに合わせたかんざし等も刺して…
完成した着物姿で赤司の傍に歩んだ。
すると赤司は、とてもうれしそうにほほ笑んだ。
「綺麗なA…正月から堪能出来て幸せだ」
「着物って言いそうだから用意していたけど…まさか本当に言うとは」
「僕の事が良く分かっているじゃないか。さすが、僕の愛するA」
赤司もすでに着替えており、フォーマルなスーツ…だったのだが。
またもネクタイを手にしている。
「A、かわいい妻にしてほしい5つの事」
「今年もブレない征十郎はさすが、って褒めてあげる」
Aはこっそり嘆息すると、屈む赤司にネクタイを回して結んだ。
赤司はタイピンをしながらご機嫌だ。
「AからA色のネクタイを…今年もいい年になりそうだ」
「…それでよかった?」
抑え目だとはいえ、薄桃色のネクタイだったのだが、赤司はジャケットを着る手つきも軽い。
「めでたい日にA色、最高だ。それにAの着物にも合っている」
赤司はAを上から下まで見た。
赤が主体の、桃色と白の花が描かれている着物。
そんなAを見る事が出来るだけでも、赤司はうれしい。
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シャンプー - ラブラブで面白かったです♪他の作品も頑張ってください!(^^) (2018年3月7日 19時) (携帯から) (レス) id: 170aaa5bac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くろろん | 作成日時:2018年1月1日 2時