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「それでも、こんな状況でも、私達妖は立ち止まってはいけない。かつてご先祖様達がそうしてきたように……」



陶器のように真っ白で小さな右手をぎゅっと強く握るアズサ。その目には強い意志が宿っているのが誠にも伝わって来た。
誠は思わずゴクリと喉を鳴らして瞬きをする。

誠は「はい」と中身のない返事をしてアズサの手を少し強く引っ張った。




後一時間もしないうちに月が沈んで太陽が昇ってくる。新しい日が深く心や書籍に刻まれるのだ。

最も外は灰やほこりだらけで、朝が来たのかどうか判ったものではないだろうが。



二人は速足で廊下を渡る。靴音が後方から聞こえてくるが、二人とも何も言わない。




意味のない行動のようで、意味ありげな雰囲気を醸し出すアズサ。不安が募って唇を軽く噛んでいる誠。

対照的な二人が今、何かを変えようと動き出している。





それは確証の無い明日を今日で繋ぎとめるために行動を起こしているのか、今日を守る為なのか、明日へ向かう為なのかは判らない。

明確な目的の無い朧気な行動をアズサは起こそうとしている。誠はアズサの真意が判らないまま今を生きようとしているのに、アズサを疑おうとしない。




狼の遠吠えに交じって、狼男の遠吠えまで耳に入ってくる。不穏へ向かう歯車が動き出していくのをアズサは肌で感じているのに、強引に胸の奥に閉まった。




月光が窓硝子を通して二人を照らさなくなった。その代わりにと言わんばかりに闇が二人を覆った。





「急ぎましょう」



誠はただ一言そう言って、遠くにある光に向かって目を細めながら更に歩くスピードを速めた。アズサも自然と歩くスピードを速める。





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赤菊 藍(プロフ) - 旅人さん» そのような評価を頂き光栄です。この作品は色々と自分の可能性を広げようと試行錯誤しているものなので、やや更新頻度が遅めですが温かく見守っていただければ幸いです。素敵な感想ありがとうございました。 (1月13日 8時) (レス) id: cc808b1622 (このIDを非表示/違反報告)
旅人(プロフ) - 描写がはっきりとしていてとても読みやすいです…!更新楽しみにしています! (1月13日 1時) (レス) id: ec476d732d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤菊 藍 | 作成日時:2019年1月1日 1時

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