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2:出航は夜明け前に ページ3





誠が広い廊下を突っ切るようにかけてきた。



「アズサお嬢様!船の支度は完了したそうです。他の妖一族も一部の種族を除いて既に出航している模様です」

「判ったわ。ありがとう」




アズサは誠の言葉に頷いてお礼を言った。


大広間を見渡すと、殆ど何も残っていない。赤いカーペットも、不思議な形をした壺も、水色のカーテンも、取り払われていて、残っていたのは寂しそうにしている屋敷の骨組みたちだけ。


思い入れのある品々が、思い入れのある場所に無いという事がこれほどまでに寂しい物なのだとアズサは思った。




ガラッと開いている大広間に、徐々に執事やメイドたちが集まってくる。

アズサは一歩も動かずに、押し寄せる執事達を眺めていた。





「アズサお嬢様、全ての準備は整いました。何時でもご指示をどうぞ」




誠が深々とアズサに頭を下げた。続いてメイド、執事がアズサに跪いてアズサを信仰した。その姿は第三者から見たら明らかに使用人の域を超えたものだった。



アズサは目を閉じて誠の言葉を噛み締めるように数秒間黙って、眠りから覚めたように目を徐々に開けて声を張り上げた。
部屋いっぱいにアズサの声が響き渡る。幼くも大人っぽくも無い、丁度中間を彷徨っているような声だ。





「命令よ!夜が明けないうちに出航する!この後直ぐに全員船に乗り込みなさい。空……『冥界ロード』を渡るわ!行先は『地獄の天国』。異論は認めない!」




そう言ってアズサはキッと当たりの使用人を見渡した。

その言葉を合図にアズサの周辺に居る者達が一斉に動き出していく。それぞれがそれぞれの持ち場へと走っていくのをアズサはぼんやりと眺めていた。





「アズサお嬢様、行きましょう」


誠はアズサの前に立ち、アズサに向かってそう言った。アズサは何も言わずに誠の手をとった。



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赤菊 藍(プロフ) - 旅人さん» そのような評価を頂き光栄です。この作品は色々と自分の可能性を広げようと試行錯誤しているものなので、やや更新頻度が遅めですが温かく見守っていただければ幸いです。素敵な感想ありがとうございました。 (1月13日 8時) (レス) id: cc808b1622 (このIDを非表示/違反報告)
旅人(プロフ) - 描写がはっきりとしていてとても読みやすいです…!更新楽しみにしています! (1月13日 1時) (レス) id: ec476d732d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤菊 藍 | 作成日時:2019年1月1日 1時

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