ビーグルパパとビーグル達 6

#288 ページ38

〜YOU〜



SE『ヌーナァー♡』








大学の帰り道、バリバリ人前なのに抱きついてきたセフン。








『…あ、セフンか。』






SE『うん、セフンだよ〜。…って、Aヌナ、元気ないの？』








前に回り込んで、顔を覗いてきた。






自分でも元気のない顔をしてるのはわかってるから、慌てて顔を逸らして笑ってみせる。







SE『バカ。そんな無理して笑わないでよ。僕がどれだけヌナを見てきたことか…。嘘くらい、すぐにわかるよ。』






『…嘘じゃないもん。』






SE『じゃあ、ちょっと僕に付き合ってよ。』








なんて言われて、手を引かれて、バスに乗り込んだ。






バスの中では無言で、セフンは私が元気ないって本当にわかってるかのようだった。





でも、手だけは強く、握っててくれて。






大丈夫だよ、なんて言われてる気がした。








SE『お、着いた。降りよ。』







長いことバスに揺られ、昼前だったのに今はもう夕方。






セフンに手を引かれてやって来たのは…。







SE『うっわー…、やっぱ、寒いっ！選択ミスーっ！！海は、夏じゃなきゃダメだー。笑』







広い広い、海だった。







SE『…僕ね、嫌なことがあると、ここに来るんだ。暫く、波を見つめて、潮風の匂いを嗅いで、気持ちを洗うんだ。そしたら、切り替えよう、って思えるから。笑』







波が押し寄せ、潮風が鼻をくすぐる。







SE『ヌナがもし、嫌なことあるなら、海に置いていこう？もう、取りには来れないけどね。笑』







海を見ていたら、鼻がツンとして。





ゆっくりと、涙が流れた。

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