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それからも暫くの間、彼は矢張り
戦う事、傷付く事への恐怖で尻込みしていた様にも見えたが
今では全くその気配を見せなくなった。
しかしその頃から彼との距離が狂ってきた様に感じる。
喧嘩して遠くなってしまったのなら話し合えば良いだけだ。
だが違う。
寧ろ、逆に近くなったのだ。
何かきっかけがあった様には思えない。
今だって彼は花を観ようと言って私の手を引いている。
今迄なら彼は私に散歩に行くと声をかけると1人で外へ出ていた。
私を誘う事なんて無かったし、必要以上に私に触れようとすらしなかった。
何故、彼はこんなに変わったのだろう。
出会った時より柔らかくなった笑顔に理由を尋ねた。
「そう、だねぇ………
強いて言うならば“恋”、かな？」
「恋？
そんなの、歌仙は毎日恋してる様なものでしょ
さっきだって零れる梅の花に見惚れてにこにこして」
「えっ、あー……えっと
そうなんだけど、そうじゃなくて………
…主、僕はね
花よりも、歌よりも、他の何よりも
僕は君が好きなんだ」
「………………は？」
意味が分からない、だって
彼は全くそんな素振りを見せなかった。
なのに急にそんな事言われたって、
しかも私にとって歌仙は手のかかる弟みたいに思っていたのに。
返事は急がなくて良いと言って、
彼は何処か遠くを見つめて微笑んだ。
彼の瞳は、一体何を捉えているのだろう。
雅な物を沢山映した歌仙に、私はどう見えているのだろう。
こんなにも醜く穢れた私を好きだなんて
こんなに動揺していては、どれだけ思考を巡らせたって彼の考えは分からないだろう。
私は黙って目を閉じた。
草の靡く音だけが、私の側に居る気がした。
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無事卒業式を終える事が出来ました！
これから始まる新生活
楽しみでもあるし、不安も多いですよね。
そんな皆さんが上手くいく様に祈ってます
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作者名：赤羽美亜 | 作成日時：2018年11月4日 21時
