2話 ページ20
「うん、良い感じ」
「へぇ〜
こんなのやるのか」
瓦版に貼り付けた花火大会についての手紙を見て呟いた俺にそう言ったのは薬研だった。
「どうだ旦那
主とは良好な関係を築けてるか？」
「まぁ、ね………」
「どうした
そんな思い詰めた顔して」
実は、と
主に対して恋心を抱いている事、
そしてそれは果たして良い事なのか、
という事も考えていることを話した。
薬研は顎に手を当て、少し考えると
よし、
と手を打った。
「花火大会の日、主と2人で話してみたらどうだ？
俺は主と従者が、人と神が、主と旦那が、恋仲になる事が悪いかどうかは
正直よく分からない。
きっと誰もがそうだと思う。
だから最終的に想いを告げるも告げまいも旦那次第だ。
静かな所で2人になって、夜空見上げてりゃなんか思うことがあるかもしれん」
「…………そうだね
そうする事にする」
頑張れよ、と言って去る薬研の背中を見送ってから
俺は主の元へと踵を返した。
もし、もし仮に付き合えたとして
加州君は付喪神で私は人間。
寿命が、種族が違う。
最期はどんな別れになるのか、
私の寿命か、彼の戦死か……
置いていかれた者の気持ちは、
結婚は、子供は、周りの人の目は、
“分からない”から来る不安が胸に押し寄せた
しかしそれでも、彼と今後ももっと一緒に居たい、笑い合いたい、感情を共有したい
そして、もっと彼に触れられる権利が欲しい
そう思ってしまうのはやめられそうにない。
はぁ〜、と深く溜息を吐いた後
審神者部屋の障子が開いた。
それから時の流れは速いもので、
あっという間に花火大会開始の30分前となってしまった。
着慣れない浴衣に袖を通し、乱君に髪を可愛く結ってもらった。
変じゃないかな、なんて考えてながら加州君を待つ私の胸はいつもより早く音を立てている。
やっぱり、この恋心を捨てるなんて、私には無理なんだろう。
「ごめんお待たせ」
紅い浴衣を纏った彼を見た途端赤くなった顔を見られないよう
行こっか、と声をかけて歩き始めた。
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赤羽美海(プロフ) - 槝さん» コメントありがとうございます！！私的に三日月よりも初期刀の加州に「自分は1番古株だから、どんなに苦しくても頑張らなきゃ」って思ってたら萌えるな、と思い作りました。私も楽しく書かせてもらっているので、楽しいの共有が出来て嬉しいです！ (2018年9月14日 18時) (
レス) id: 49475d5f9c (このIDを非表示/違反報告)
槝 - 楽しく読ませて頂きました！ボス＝三日月が多いのは同感です、自満で小説書くくらい思ってたので共感者がいて嬉しかったです＊ (2018年9月14日 7時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤羽美亜 | 作成日時：2018年7月25日 18時
