17話 ページ17
やっと退院出来て、半年ぶりにあの本丸に帰る事が出来た。
まず一番に加州に会おうと思った。
あの木下に居るような気がしたから来てみると、
そこには闇堕ちしかけた加州が居た。
何故、こんなにも他人思いな優しい子が傷付かなくてはいけないのか。
人の世でも、いつもそうだった。
半ば強制的にこの本丸の審神者になったが、
それでも、皆んなには笑顔になって欲しかった。
なのにどうだこの有様は。
悔しくて、悲しくて、目頭か熱くなるのを感じながら彼に駆け寄った。
「………ごめんね
随分待たせちゃったね」
「あルジ、ごメ
オレ……
ネェ、アるジ
自我ガあルウチに、オレのコと折ッテよ
最期ハさ、アルジのテデおワリタイんダ」
「………嫌だ
終わらせないよ」
「!?ナニいッテんだヨ!
タノむかラ、ハヤくッ
もウイツまでモツカわカらナイ!」
「嫌だ
絶対に折らない。
………大丈夫
加州は元に戻れるよ。
私を見つけた時の加州の目、綺麗だったもん
闇堕ちする人の目じゃないよ」
「………バかジャナイの
完全ニおチたら、オレあルジのコとコロシちャうヨ」
「大丈夫だって
もし堕ちちゃったら、私も一緒に付いて行くよ
どこまでもね」
「………そンなコト、主にさセられル訳ナイじゃん」
じゃあ早く戻っておいで
そう言って、私は加州の体に手を回した。
少しずつ、瘴気が薄れてゆくのが分かる。
「あんたを選んだ時は、
もっと大人しい奴かと思ってた………」
「うん」
「………これで、もう誰も傷付かないと思ってた」
「………ごめん」
「なんで、
なんであんな事したんだよ」
「加州が、大事だからだよ」
大切な人だから、傷付いて欲しくなかった
それは彼も一緒だった事を、あの時の私はまだ知らなかった。
一緒にいた時間は短くても、彼を好きになるのには充分な時間だった。
「知ってる、知ってるよ………
愛してるって言われてなくっても
俺、愛されてる事分かってた」
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赤羽美海(プロフ) - 槝さん» コメントありがとうございます!!私的に三日月よりも初期刀の加州に「自分は1番古株だから、どんなに苦しくても頑張らなきゃ」って思ってたら萌えるな、と思い作りました。私も楽しく書かせてもらっているので、楽しいの共有が出来て嬉しいです! (2018年9月14日 18時) (レス) id: 49475d5f9c (このIDを非表示/違反報告)
槝 - 楽しく読ませて頂きました!ボス=三日月が多いのは同感です、自満で小説書くくらい思ってたので共感者がいて嬉しかったです* (2018年9月14日 7時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤羽美亜 | 作成日時:2018年7月25日 18時