16話 ページ16
少し照れながら話す彼の背後から、
さっきの小刀が飛んで来ていた。
危ない…！
そう思った時には体が勝手に動いていた。
背中がジンジンと熱くなるのに対して、
私の頭は血の気が引き、冷たくなってゆく。
意識が遠のく中、
加州の必死な声だけが聞こえた。
何が起こったのかは瞬時に分かった。
さっきまで抵抗していた政府の奴から生気や霊力が感じられない。
だが彼女の背中に刺さった小刀から、
奴の霊力が漂っている。
奴の口調から考えるに
きっとこういった交渉を他でもやっているんだろう。
俺達は腐っても神だ。
神にそんな事をしたとなれば、死刑は免れない。
そこで、絶対に死ぬと分かっているのならば
全霊力を注いで小刀を飛ばし、
計画を邪魔した俺を殺そうと企んだのだろう。
全ての霊力を使い果たせば人は死ぬ。
だから奴からは生気が感じ取れない。
彼女は病院に搬送され
いつまた審神者業に復帰出来るか分からないと、こんのすけから伝えられた。
彼女がこの本丸から居なくなってから2日目に違う審神者が来た。
それは、審神者が居なくては本丸は長く持たないからだ。
新しい審神者は、自分が彼女の代理だとは言わなかった。
しかし、この本丸の担当になるとも言わなかった。
真実が分からない中、誰も何も聞こうとはしないまま
只々時間だけが、やけにゆっくりと
そして確実に流れていた。
もう、彼女は帰って来ないのか。
そりゃそうだ
何度も傷ついて、殺されかけた。
今を逃せば審神者を辞める機会なんてそうないだろう。
寒空の下、そんな事ばかりを
あの大きな木下で一人考えていた。
「あの時俺が、気を緩めてなかったら
そしたら、傷付かずに済んだのかな………」
あの時感じた血の巡る感覚を思い出すと、
酷く寒くて、孤独に感じた。
「もう、誰も傷付いて欲しくなかったのに……！」
むせ返りそうな程熱いナニカが胸から込み上げる
視界が暗くなってゆくのが分かった。
これ以上アレに近づけば戻れないと知ってても、止められる事は出来ない。
寒い
雪でも降っているのだろうか
分からないが、とても寒い
寒い 寒い サムイ
「ねぇ、大丈夫？
手が悴んでる。」
「………ア、るジ？」
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赤羽美海(プロフ) - 槝さん» コメントありがとうございます！！私的に三日月よりも初期刀の加州に「自分は1番古株だから、どんなに苦しくても頑張らなきゃ」って思ってたら萌えるな、と思い作りました。私も楽しく書かせてもらっているので、楽しいの共有が出来て嬉しいです！ (2018年9月14日 18時) (
レス) id: 49475d5f9c (このIDを非表示/違反報告)
槝 - 楽しく読ませて頂きました！ボス＝三日月が多いのは同感です、自満で小説書くくらい思ってたので共感者がいて嬉しかったです＊ (2018年9月14日 7時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤羽美亜 | 作成日時：2018年7月25日 18時
